よんアザ | ナノ



きまぐれ


※ネタ募集品


「ベルゼブブ。今から暇か?暇だよな。だってケータイには何も連絡なかったし。」

「テメエ!また人の物盗み見しやがったな!」

「あったり前だろ。お前に悪い虫がつかないようにするためなんだからな。」

「はぁ?バカなこと言ってる暇あったら連絡の一つでもよこしやがれ無能!脳みそがなんのためにあると思ってやがる!」

「お前の暇な時にきてんだ。問題ねえだろっときたきた。」




気がついたら、小綺麗な部屋にいた。先程までの魔界の屋敷ではない。ルシファーの契約者、十美子の支配する666木ビルの一角の部屋である。ここには結界などはない。恐怖の権化である悪鬼もいない。小うるさく、命令しか出来ない小娘もいない。
そしてなにより、ルシファーがいる。ベルゼブブにはそれだけで十分だ。

「で、今日はなんの用ですか。」

「魔界最強で最高の彼氏であるルシファー様がいるんだぜ!?素直に喜べって!」

「どの面さげて彼氏してるんですか。もっと気の利くようになってから言いましょうね、このボケが。」

ちなみに召喚される時から、ルシファーがベルゼブブに抱きついている。一緒にいる契約者のことすら気にすることなく、恋人しか見えていないルシファーには呆れるしかない。だがそれでもルシファーに会えるだけでいいのか、とみこは色男たちに見とれるのみだ。

「じゃあトミコ、ちょっくら行ってくるわ。」

「どこ行くのルシファー?」

「デートだデート。今日のイケニエは葉っぱ一枚でいいからな、帰った後に頼む。」

男にしては軽い体を両腕に抱え、悠々と窓に向かうルシファー。今更抵抗はなくなったのだが、何故か今日に限り顎に拳がめり込んだ。

「何しやがるツンデレ!」

「先に言えよクソ野郎。」

「何がだ?」

「こっちにも準備ってのがあるんだよ…。」

(デートだと?心の準備とか、他の準備とかよぉ…)

しかしこんなこっぱずかしい台詞など言えるわけがない。顔を背け、口ごもる姿に疑問符を浮かべながらも動き出すルシファーに安心し、自ら暴露してしまった感情を彼の胸に埋める形で隠す努力をした。

「さて、俺様の姫様はどこに行きたいんだ?」

「…任せる。ホテル以外なら。」

「あれ…べーやんちゃいます?」

人が浸っている時に耳障りな声が聞こえた、と思えば。仕事の同僚がこっちに目掛けて飛んでくるのが見えた。デート中は男同士ということを気にして、ベルゼブブは姿を見せることをよしとせず、目立ちたがりにも躾をして渋々ながら了承をさせている。同族や素質のある者は…仕方ない。二人の付き合いは魔界で公認であるし、知らない人間は気にすることもない。

「なんですか。クソ豚ですか。」

「なんやとはご挨拶よのお………ワシにそんな口きいてええと思っとうの?」

「いいに決まってるじゃないですか。バカバカしい。」

アザゼルならば怖くも何もない。どうせ佐隈が一緒だろう、そう思っていたのに、まさか。

「よお。今日は休みたいと言ったと思えばこれか。人間界でもコレとは、いいご身分だな。」

「なんだ、なんでコイツがいるんだ!?」

初めての出会いを忘れるわけはない。無意識に殺気立ち威嚇を始めるルシファーに、呼応するように睨み返す芥辺。そして間にいるベルゼブブ。殺気はどうということはないが、芥辺の、オーラが、怖すぎる。心臓が握られているようだ。

「テメエか…前々からウチのクソハエをたぶらかしてくれてるのは…」

「たぶらすも何も、元からコイツは俺のだだ。頭大丈夫か?」

「死にたいようだな。裏路地までこい。」

どこの不良の喧嘩だ。周囲はこのただならぬ喧嘩と暴言の横行は見えないし聞こえないのだが、アブナイ男の殺気は垂れ流しである。もう誰も近づかないほどに。

「ベルゼブブ。そんな勘違いコアラ野郎なんざほっといて帰るぞ。」

芥辺の命令は絶対、絶対なのだ。

「アクタベ氏。」

「いくぞ。」

「…それは聞けぬ相談です。」

「あ゛?」

いつもなら芥辺の命令は二つ返事な、あの賢明ベルゼブブが、はっきりと芥辺の言葉を拒絶したことにアザゼルは震えが止まらなかった。

「今日は代休を戴く、といいましたので。…私のグリモアに書いていませんでしたか?月に最低三回、代休は戴くと。それを了承して下さったのはアクタベ氏でしょう?」

「テメエ…」

「でかしたハニー!じゃあそういうことだよ主人面!」

「だ、誰がハニーだ!!」

芥辺が結界を張るその前に、とルシファーは高々と飛び上がり黒き羽を広げた。関心するアザゼルに、芥辺の歪んだ表情を見下し勝ち誇るルシファー。こんな光景を誰が予想したであろうか。

「ヒャハハハハハ!見たかよアイツの間抜け面!ナイスだぜ優一!」

「べっ別にお前のためなんかじないからな!その下品な笑い方はやめろ!次やったら舌引っこ抜くからな!」

「ハイハイ。さぁ愛の逃避行の仕切り直しといきますか!」

(もう好きなだけ言ってろ)

この男は本当に面倒くさく、扱い安い。傲慢で自分主義で、ナルシストな奴だが、なんやかんやで憎めないし飽きない。

(……飽きるまでなら、いくらでも付き合ってやるよ)

いつ飽きるなんて、当分予想などできないのだけれど。

+END

++++
遅くなりました!
『ルシベー・ルシファーの魔方陣を使って人間界デート(既に付き合っている設定)に出くわすアクタベ御一行。※ルシファーにデレてるべーやん』というネタをいただきまし…た…が、急ぎすぎてグダグダしちゃいましたね。芥辺さんに逆らうべーやんがカキタカッタノデス!!

ネタ提供ありがとうございました!

11.8.28
修正:11.10.16

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