*好きならば
※また性転換
「さくまさん、さくまさんは…どのような女性が好みなのですか?」
「私、ですか?」
キョトンとする佐隈の心中は察する。だが質問した本人のベルゼブブは必死である。
「んー…そうですね…優しい人、ですか?」
「なんや、童貞らしい答えよのう。」
「アザゼルさんは……黙ってろ。」
容赦ないグリモアの責め苦に耐えられず上がる悲鳴など最早バックミュージックにすぎず、どうしたんですか?とあからさまな態度と笑顔を向ける佐隈。あぁ、慣れとは恐ろしいものだ。
「いえ、ただ、気になっただけです…」
「ふぅん?」
優しく頭を撫でる手に夢見心地を覚えながら、我に返る。ダメだ、流されてはいけない。パタパタと羽ばたく手に佐隈は首を傾げた。
「見た目、気にします?」
「…ちょっとくらいは。」
「…体型は気にします?」
「そこはあまり。」
「素直に巨乳好きって言えや!」
懲りないバカには制裁を。動けないようグリモアで押さえ込み、再びベルゼブブに向き直る。やはり慣れとは恐ろしい。
「好きって言ったら、驚きます?」
「そりゃあ…」
「じゃあ、好きです。」
不意打ちか予想外だったのか、満月へと近づく目。いつもは欠けたベルゼブブの瞳も、今日は満ち真っ直ぐ彼を見つめる。
「ええっと…」
「答えは?どうなんです?」
戸惑いがちだったと思えばいきなり積極的になる。悪魔はなかなか厄介で難儀な性格をしている。色恋沙汰に、女性に縁がない佐隈は勿論戸惑い話を逸らしたがるが、ベルゼブブがそれを許さない。
「好き、ですか?嫌い、ですか?それだけ聞きたいのです。」
どれだけ力があっても、本当に欲しい物が手に入らなければ意味がない。
この螺旋階段は、いつになれば終わるのだろう?
++++
綺麗な恋愛相談とエグイ恋愛相談が交差する今日この頃。
エグくなる前に相談してくれ…
11.9.29
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