*好きだから
「本っ当に君はデリカシーがない…」
「そういうべーやんは常識がないやないの。食べるもん考えてみいや!」
昨日も今日も、多分明日もだろう。このやりとりはきっと続く。
「君は対応がまるでなっていないんだ。
だからさくまさんにも嫌われる、のがわからないのかね?」
ため息をつきながら、冷ややかな目と声を向けてやれば、戻ってきたのは鋭い眼孔。おまけに縮まる距離。
「さくの話はすんなや。」
ドスを効かせた目が、上からベルゼブブを押さえつける。
「二人きりな時に、女の話すんな。」
(やれやれ…)
自らは目の前で女性に対するナンパもセクハラもするのに、恋人がやった瞬間にこれである。自分のことは棚に上げるクセに口と嫉妬は一人前、無意識にシーツを握りつぶした。
「アザゼル君。」
真っ直ぐ見つめた目は、逸らしたら負けだという考えてを彷彿とさせた。
動かない両者の目と、距離。無情に時だけが刻まれていく。
体がの距離が、縮まり一カ所が触れ合った。
「バカだな、君は。」
呆けた間抜け面を押し戻し悪戯に笑う。
「だから、君はデリカシーがない。
現に、今の状況から言えることだろう?」
「なんや、べーやんもヤりたかったんか。」
「なんでそうなるんですか。」
迫る肉体を押し返す力は弱く、顔からは笑顔が耐えない。
距離は縮った。
++++
オンリー(ry
11.10.26
[ 54/174 ][*prev] [next#]
[目次]
[しおりを挟む]