よんアザ | ナノ



戯れ

「これで本当に…喜んでくれます?」

「間違いない!アザゼルさんを任せんかい!」

太陽も近くなり、気温も下がり始めた。もう冬である。
冬と言えばコタツ、コタツと言えばミカン…などという食欲そそる話は控えよう。
冬といえば、雪。肌寒くなり、人肌恋しくなる時期である。
もうそんな時期か、そう今年は他人事で終わらせるわけにはいかないのだ。

「アクタベはんも男や!興奮せん男はおらん!」

「アザゼル君だけの変な趣味ではないでしょうね…?」

「…さくに聞いたらアカンよ!ワシ、殺されるやんか!」

「嘘なんじゃねえか!!」

「ちゃうちゃう!そういう意味やなくて…べーやんにセクハラした、ってキレるに決まっとるっちゅーこっちゃ!まだしとらんのに!」

「触れたら殺す。」

首筋に当たる冷たい手に、怯むほどアザゼルはできた悪魔ではない。それならば動けなくなるまで切り刻むのみ。ベルゼブブの目はそう物語っていた。
ガチャリ
外部からの訪問者らしい。ノックも何もしないとなると、この部屋の賃貸者かバイトかに絞られるが、乱暴な振る舞いで一人に絞られた。

「アクタベはん、お疲れさん〜」

アザゼルの抱擁は、無惨にも叩き落とされてしまう。アザゼルからの冗談しかないアプローチなど、どうでもいいのだ。それよりも彼女であるベルゼブブが最優先、それがこの事務所長の日常である。

「ベルゼブブ。変化はなかっ……」

「お、お帰りなさいませ…」

だが、決して優しいわけではない。サディズムと言われる加虐思考を持つ芥辺が……普段自信に満ちた女が恥じらいながら、頼りないながらも体を隠す様は劣情を煽るには申し分ない。この振る舞いには勿論興奮せざるを得ない。
それに今回はオマケ付き。なんと裸体に布一枚、という『裸エプロン』と言われる衣装なのだ。今はペンギンの姿でありながら、恥じらい効果は抜群。エスコートしたアザゼルも絶賛である。

「どうやどうや?アクタベはんもこういうの好きやろ?男のロマンやろ!?」

「アザゼル、失せろ。」

「なんでですの!?」

叩きつけでは飽きたらず、アザゼルを叩きつけると靴で背中を踏みつける。普通はすぐに失神するであろう力だが、ジタバタと無駄に動く体。やはり悪魔は簡単にはくたばらない。

「コイツに変なことしてないだろうな…」

「してまへんしてまへん!決して生の綺麗なお尻触ったりマ●筋撫でたりおっぱい揉んだりしようなんて、思ってませんて!」

「死ね。」

「なんでですの!?」

彼氏からの怒涛の蹴りにより、悪い虫は完封無きまでに叩き潰されてしまった。
冷ややかな目を向けながらも、対岸の火事というわけにはいかない。友人の処理が終われば、次は自分だ。冷や汗が溢れ出て止まらない。

「ベルゼブブ。」

「は、ハイイ!?」

条件反射で彼の膝に座ると、結界が外される。そこまでは予想は出来た。だがいきなりエプロンを捲られるなど、誰が予想出来たであろうか。アザゼルならやったかもしれない。しかし実行者は芥辺なのだ。

「…下着も付けてないな。」

「う、後ろから見たらわかるでしょうッ!」

「ペンギンだっただろ。」

「今は人型ですッ!」

裸体を見られるのは慣れている。だが、中途半端に着ている、という事実が酷く羞恥心をくすぐり、一刻も早く視線から隠したい衝動に駆られる。
だが、胸に置かれる手により、エプロンは手につっかえ下は丸見えだ。対面した体制である故、足を閉じることは許されない。これは、一体どのような拷問なのだろうか。

「小さいと色気もないな。」

「…ウルサいです。」

「べーやん!お尻上げてお尻!おマ●コ見えへん!」

こりないアザゼルは、再び血の海へと沈む。流れ作業のように魔界へと放り込まれた無様な姿を見届け、振り返ろうとした瞬間を見計らい胸を鷲掴みにされた。違いといえば生ではなく布越し独特の、布が胸を擦れる奇妙な感覚。

「や、やめてください…っ」

「感じてるのか?」

「ち…がいます……」

説得力のない声と顔だが、言いなりなのはしゃくである。またもじもじと股を摺り合わせる行為でバレバレであるのだが、自分で口にするわけにはいかないのだ。

「生で触ってほしけりゃ自分で捲れ。」

「絶対しません!」

「本当にいいのか?」

耳を掠めた声音に、ぞわりとした。正確には芥辺が何か企んだ時に浮かべる、嫌な笑いに。
危機を感じた後は、もう遅い。焦らすような指が布を這い、小さく主張する突起をつつく。その度に走る快感は比ではない。
だが、しかし、理性が欲望に溶けていく……

「アクタベさん、なにやってるんですか。」

芥辺が佐隅に舌打ちをすることなど、これが最初で最後、いやベルゼブブが関わらない限りは最初で最後だろう。
ナイスタイミングというかバッドタイミングというか、乱入してきた佐隅は複雑な面もちをしている。

「お邪魔でした?でも応接間ではやめてくださいよ………当てつけです。」

さりげなく、さりげなく触れてきた手に溜め息が漏れた。
とりあえず、寒さから逃れる為に芥辺へと密着した。決して欲情したわけでも、佐隅から邪な気を感じたわけでもない。

+END

++++
裏にいきかけた…こ、こわかった(´;ω;`)

11.12.30

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