いるのは気づいてる
囚「(あれ、珍しい。書庫など私しか使わないというのに、誰かいる?)」
写「……(カタン」
囚「(ん? 写真家?)」
写「……(パラリ)」
囚「(人との距離に敏感な写真家が、近づいても怒らないなんて! もう少し、寄ってもいいのだろうか)」
写「……」
囚「(霊魂術の本? この作業が終われば読んでみるか)」
写「(パラリ)」
囚「(睫毛、長いな……鼻も高くて、唇も荒れてなくて、)」
写「……(パラリ)」
囚「……綺麗だ」
写「!?////(バッ」
囚「え? すまない。邪魔するつもりはなかった」
写「貴様!////」
囚「すまなかった! もう邪魔はしないから、どうぞごゆっくり!」
写「(彼の熱い吐息が、甘い声が、耳に……!///)」
囚「(どうして顔が紅潮してたんだろう?)」
++++
【囚写語り】まだ想いが通じ合っていない頃、本を読むなどして下を向いている時に、ふと顔を上げたら思った以上に相手の顔が近かった時のその後について語りましょう。
23.2.13
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