ゆぎお | ナノ



歪む片思い

※女体化



男でも、好きになっていた。
ユートは仲間思いで、優しくて、賢くて、強くて。憧れの感情から始まり、いつの間にか恋に落ちていた。
決して同性愛者ではない。そう自分に言い聞かせて感情も否定してきた。無理矢理押さえ込み表に出さないようにして、やっと押さえ込めたと思っていたが、無理矢理に覆った簡易な薄い膜など簡単に破れ去ってしまった。




雨に打たれて男もののシャツが透けて覗く、薄いピンクのブラジャーに小振りな胸。幼い膨らみを帯びた胸は、まさしく女性のものである。
遊矢は目の前にいる人物の顔を改めて見た。

「ユート、だよね…?」

遊矢が一歩踏み出すごとに、ユートに似た少女は一歩後退する。
胸を覆いながらも威嚇する眼光は緩まない。しかし遊矢の足は、まるで誘われるように少女へと歩み寄っていた。

「寄るなっ!」

強く言われても遊矢の足は止まらなかった。一歩進み、一歩下がる。不毛なやりとりに終止符を打ったのは、薄暗く古い物置倉庫の壁だった。少女が背中をぶつけた瞬間に、ドンと重い音と怯えた表情。まるで暴漢に襲われている少女のようだ。

「ユート、でしょう?」

「答える必要はない!」

「俺は敵じゃない。そんなに睨まないでよ。」

手を伸ばすだけで、身を強ばらせて固く目を瞑るユートに、言い知れない悲しみを覚える。何かトラウマを抱えているのは言うまでもない。安心させるように極力優しい手つきで頭を撫でるが、顔が強張っていくばかりだ。

「ユート、女の子…だったんだ…」

「女でも戦える。」

「そうじゃなくて。…その、いや何でもない…」

再び燃え上がる恋心に、情欲。
今すぐ乱暴に押し倒したい。服を破り去り、無理矢理にでも犯したい。そんな黒く渦巻く欲望を振り払うように頭を激しく振った。

「…ごめん。」

何故謝られたのかユートにはわからなかった。ただ、顔を赤く染めながらも歪める遊矢と、震えた手があった。

++++
欲情してる

15.7.22

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