ゆぎお | ナノ



アス受けでバレンタイン

※アストラル女体化
※全員人間転生

総受けで書こうとしたらネタが出なくて詰んだので、それぞれのパートでわけています。リンクからどうぞ。


【凌牙編】
【96編】
【ベクター編】
【遊馬】


















【凌牙編】


放課後、勉強をして残っていた図書館。アストラルは閉校のアナウンスと共に扉を閉めると同時に、後ろから声をかけられた。

「よっ。」

「…シャーク。」

振り返れば凌牙のいつものような余裕な笑み。片手で挨拶をするとアストラルに近付いて何かを探すように視線をさまよわせる。

「今帰りか?送るぜ。」

部活に入らない凌牙が、閉校の時間までいるのは今日も理緒の部活探しだったのだろうか。無言で問うアストラルの視線に「チョコレート作りの練習に付き合わされたんだよ。」苦笑い。どうやら気に入ったものが昨日だけでは出来なかったようだ。
アストラルは鞄を強く抱えた。
しかし凌牙には鞄から覗く、ラッピングを施した箱が見つかってしまった。見つけた、と笑う凌牙は鞄から目を逸らさずに呟いた。

「へえ。お前にもチョコを準備するくらいは女子力っつーものはあるんだな。」

嫌みな言葉とは裏腹に柔らかい笑みを浮かべる凌牙。見透かしたような優しい表情に複雑な気持ちになり、アストラルは眉を寄せる。

「誰に渡すんだ?」

「……考えていない。」

「おいおい。もう放課後だろ。」

そっぽを向き、後ろ手で鞄を隠すアストラルに凌牙はクツクツと笑う。覗き込もうとすると体を捩りながら睨まれた。意地でも隠すフリを貫き通すらしい。

「お前は貰ったのか。」

「ワルはモテるだろう」とふてくされながら言えば、凌牙が肩を震わせて笑う。

「貰ってねーよ。煩い奴がいるからな。」

「そうか。」

「渡す奴がいないなら帰るぞ。」

その言葉には素直についてくるアストラルに、凌牙の笑みは深くなる。
手を差し出してみるがさすがに繋いではくれなかった。少し振り返り見えたのは、赤い顔のアストラルだった。

「お前こそ強請られただろ。モテモテ優等生がよ。」

「全て断った。」

間髪入れずに断言したアストラルに凌牙は歯を見せて笑う。不服な顔をするアストラルに軽く謝りながらも笑い続けている。

「くくくっ、やっぱり俺も断ってよかったぜ。」

「意味がわからない。」

「こんな日にチョコなんてもらったら、理緒よりもお前が怒るしな。」

「そんなわけないだろう。」

「本当か?なら今から置いてきた分を取りに行ってくるかな。」

引き返そうとする凌牙にアストラルは目を剥き焦りの表情を浮かべた。
勿論凌牙の言うことは嘘だ。しかしアストラルは本気にしてしまい、焦燥と嫉妬で判断が鈍っていた。慌てて学校へと引き返そうとする凌牙の服の裾を掴むと唇を噛み締めて上目づかいで凌牙を見上げた。

「…シャーク。」

「今更その呼び方も落ち着かねえな。」

「それならばナッシュか?」

「お前にナッシュと呼ばれると落ち着かねえ。」

「ならば凌牙。お前に渡す分だ。」

照れもなにもない率直な渡し方だがシンプルでアストラルらしい。昔のアストラルの体のような水色が基調な包装紙。リボンも綺麗に巻かれており市販のような出来た。

「……私も満足するものが出来なかった。」

「気にすんな。ありがとな。」

さほど驚きもせずに受け取る凌牙が憎らしい。もとよりチョコレートを貰えるのがわかっているかのような言動から余裕を感じる。
しかしアストラルは大切に受け取る凌牙に笑顔を見せて照れ隠しに前を歩き出す。
不意に肩を掴まれ立ち止まった隙に絡められたら指。驚きはしたが、指が離れることはなかった。

++++
余裕を見せるシャーク







【No.96編】

アストラルは追いつめられていた。
誰もいない放課後の学校の、最上階の廊下のその一角。
後退りをしたくとも後ろは壁だ。横には遮るように手が置かれて身動きはとれない。目の前の相手を睨みつけるが、楽しそうに笑うだけだ。
犯人はブラックミスト。No.96が人間に転した姿である。今やバリアンは疎かナンバーズの力も失い、学園生活をエンジョイしている。
それはともかく。

「俺にくれるだろう?アストラル……」

壁とブラックミストの体に挟まれて身動きがとれない。

「チョコレートは1つしかないぞ。」

「俺の分だろ。」

「勘違いするな。私の分だ。」

ポケットから取り出した銀紙より、形のよいトリュフチョコ。躊躇わずに自らの口へと放り込んだアストラルにブラックミストは抗議の声を上げる。
肩に手をかけて情けない取っ組み合いになるが、アストラルも譲らず抵抗してくる。

「お前…っ!それはねーだろ!」

「うるさい。」

存分に味わうと、もう一つ袋を取り出した。
不格好な形に簡易な包装。しばらく考えてた後、そのチョコレートもアストラルの口へと消えてしまった。ブラックミストの口角が引きつった。

「ミスト。」

「ったく、何だよ―――!?」

拗ねて目線を逸らしていたブラックミストに呼びかけ、首に腕を巻きつける。改めてアストラルを見たブラックミストは目を見開いた。
見えたのは目を閉じ薄く唇を開くアストラル。次の瞬間にはキスをされていた。

廊下の端のロッカーの死角になっている場所だ。誰の邪魔も入らない。
舌を絡めようと積極的に口内を味わうブラックミストだが、なるほど甘い。先ほど食べたのはミルクチョコレートか。
ブラックミストは甘いものが好きではない。口直しにとアストラルの舌を探していたが、舌に丸いものが押し付けられた。今アストラルが食べている不格好なチョコレートだ。
「食べろ」という彼女の意図を感じて内心ほくそ笑み器用にチョコレートを舌で絡め取ると、一旦口を離した。

「やっぱり苦い…」

苦い顔をするアストラルだがブラックミストは満足気にチョコレートを咀嚼している。完全に飲み込みアストラルに不適な笑みを向けた。

「今のキスで甘くなったろ?」

胸に腕を這わせると、アストラルの頬が赤く染まる。

「まさか手作りだとは思わなかったな。可愛いことをしやがる。」

「…お前は甘いものがダメだから。」

アストラルの照れ隠しの言い訳にブラックミストは笑いをこらえるので必死である。

「甘い空気は大歓迎だ。」

「…ばか。」

再びキスをしようとしたら、殴られてしまった。赤く染まった顔で。


+++
一番甘い不思議







【ベクター編】

いつもの放課後は、3階の教室には誰もいない。
勉強をする者は図書館に行くし部活は別の部屋で行われている。いつもは誰もいないのだ。

しかし今日は2人の男女の影。甘い雰囲気というわけでもなく、どちらかと言うと危ない雰囲気が漂っている。
男子生徒はベクター、女生徒はアストラル。問題児と優等生という異色の2人である。

「さーて問題です。今日は何の日でしょう??」

ベクターが楽しそうにアストラルを壁に追い詰める。追い詰められたアストラルはというと、焦る様子もなく淡々とベクターを見つめ返している。

「バレンタインデーという祭儀だな。」

「ピンポーン!正解ー!」

「その答えを待っていました!」とベクターの口角が弧を描く。言いたいことはそれだけでわかるだろう。今日はバレンタインであり、ベクターはアストラルにチョコレートを集りにきているのだ。

「再び問だーい!アストラルちゃんは誰にチョコを渡すでしょうかー…?」

顎を掴まれ上を向かされる。楽しそうに笑うベクターは確信犯以外の何者でもない。逃げようともせずアストラルはベクターを見つめ返すだけだ。

「お前じゃないことだけは明らかだな。」

「ブッブー!大はずれー!」

ケラケラ笑ったと思えば目を細めて見下ろされる。普段の"真月"の快活さの欠片もない光のない目に見つめられてアストラルは言い知れない恐怖が感じた。

「俺様以外の男に渡したら相手とお前がどうなるか。火を見るより明らかだろ…?」

邪悪に歪む顔が、口角がベクターという男の本性をさらけ出す。乱暴に腕を掴まれ、誰かの机の上に投げ出されると押し倒される。アストラルは緊張に荒く息をついた。

「それとも先に"お仕置き"がいいか?」

何故常備しているのか、縄で手を頭上で拘束されてブラウスを開きシャツをまくし上げると、白縁のレースが施されたブラジャーが現れる。「まだまだ小さいな。」と呟きながら、平らな胸に手を被せる。
これから起こることに恐怖と期待が湧き上がる。しかしここは放課後といえども教室という開放的な空間。いつ誰がくるかわからないのだ。

「待て!ここは学校だぞ!?」

「お前は見られても興奮するドMだし?」

「誰がドMだ!」

「お前。」

胸を揉みしだきながらブラジャーをずらそうとすると、スカートのポケットから堅いものが机に当たる音がした。「んー?」と気の抜けた反応をしながらも容赦なくポケットに手を入れると、小さな包みが現れた。綺麗に包装された黒い立方体の紙。小さな弁当くらいの大きさだが上出来だ。
ベクターは瞬時に理解した。これはアストラルが自分に宛てたチョコレートなのだと。

「やっぱりスタンバってたじゃねーか…ツンデレだなぁ。」

「…煩い。」

「勿論手作りだろ?」

「そんな時間はなかった。」

「あらら残念。」

可愛らしいリボンを粗雑に外しながらベクターはイヤラしい笑いを崩さない。
チョコレートの包みを開くと見事に溶けていた。何時間前から入れっぱなしだったのだろう。渡そうとしながらも機会がなかったことが伺える。
ベクターは手についたチョコレートを舐めとり、にんまりと口角を上げる。手が汚れるのも気にせずにチョコレートをアストラルの白い肌の上に置くと、塗りたくり始めたのだ。唇に、腹に、首筋に。それはそれは楽しそうな邪悪な笑みを浮かべて。

「これでよし、と。」

3分の2を残しベクターはアストラルの肢体を見下ろし笑う。チョコレートと外の空気の冷たさに身をよじらせるアストラルだが、手首が拘束されているために満足に動けない。

「『私を食べてください、ベクター様。』はい復唱。」

「調子に乗るな―――」

「この場でお・仕・置・き。してほしいですか〜?」

スカートに手が掛かった時点で警告が聞こえる。反射で蹴りとばそうともがくと、難なく受け止められてしまった。

「アストラルちゃーん…?」

細められたベクターの目に恐怖を感じた。
恐る恐る口を開くと、羞恥心を頭を振ることで払い、ベクターを見上げた。

「わ…たしを、食べてくれ…。」

しばらく間が空いたがベクターはニヤリと笑う。

「まぁ上出来。」

首筋に吸い付かれアストラルは目をつむる。チョコレートだが決して甘くはない。ビターのカカオの強い香りにアストラルは眉を寄せ甘い息をついた。

++++
甘いような鬼畜







【遊馬編】

やっと放課後になった。下校時刻は少し過ぎているが、あの人はいるだろうか。遊馬は慌てて階段を駆け下りた。
いた。思いが通じたかのように校庭を歩く後ろ姿が見える。

「アストラル!」

校庭を1人歩くアストラルに遊馬は大手を振りながら大きな玄関から飛び出した。遊馬の声に気づきアストラルも自然と笑顔になる。遊馬を視認して鞄からチョコレートを取り出すと、赤いラッピングの箱を抱えて遊馬へと走り寄った。

「まだチョコは持ってる…よな!よかった…。」

安堵の表情で小声で呟く遊馬の言葉はアストラルの耳には届いていない。それどころか視線は遊馬の両手の袋に釘付けである。

「遊馬。その袋は……」

細められた目に遊馬はギョッとした。慌てて袋を隠そうとするが、見られてしまってからでは遅い。スクールバッグより大きな2つの紙袋には、全てチョコレートが詰まっている。勿論クラスメイトや他校の知り合いの女生徒に貰ったものである。嫉妬深い面を持つアストラルだ、機嫌を損ねてしまった。遊馬の内心は冷や汗が溢れていた。

「いや、これはその……あはは。」

「通りで昼休みも会いに来なかったわけだ。」

笑って許されるなら苦労はない。先程までは初々しく頬を赤く染めていたアストラルの顔は冷ややかに遊馬を見ていた。無表情は相当怒っている証拠である。

「…それだけあれば、もういらないか。」

「いるいる!いるって!俺甘いもの大好きだから!!」

本当は朝に、昼休みに会いに行くつもりだった。
しかし予想以上の女生徒からのチョコレート攻撃にてんてこ舞い。逃げ出すだけで精一杯だったのだ。いつも昼ご飯は一緒なのは暗黙の了解、それすらすっぽかしたことがアストラルの怒りを助長してしまった。

慌ててフォローするがアストラルは拗ねてしまい無感情の視線を感じるだけ。
大切そうに手に持っていたチョコレートを鞄にしまおうとするアストラルの手首を掴み、慌てて止めると無感情な瞳が真っ直ぐ遊馬を捕らえる。どうしたものか。どうすればアストラルの機嫌は直ってくれるだろうか。遊馬は、日頃使わない頭をフル回転させてアストラルのチョコレートを凝視しながら頭を深々と下げた。

「く…ください!俺、アストラルのチョコを楽しみにして学校に来たんだからな!」

「チョコレートならどれも同じだろう。」

「アストラルのがいい!」

「なら貰ったチョコレートは全て必要ないな?」

「う…それは……」

本命がアストラルなのは間違いない。しかし好物のチョコレートを手放すのは惜しい。遊馬の出来ることは必死に訴えることだけだった。

「頼む!アストラルがいい!欲しいんだって!!」

遊馬は慌てすぎていたのだ。
必死に頭を下げると同時にアストラルから小さな悲鳴が聞こえた。
恐る恐る顔を上げると、顔を真っ赤にして目を見開くアストラルの姿があった。口を抑えてわなわなと震えている姿は遊馬に"可愛い"としか写らなかった。アストラルはとんでもない"勘違い"をしていたとも知らずに。

「私、が……」

「アストラル…?」

長い沈黙が流れる。耐えきれずに遊馬がアストラルの目の前で手を振ると、焦点が合い更に顔が真っ赤になる。

「………わかった。」

「本当か!?」

少し震えた声でぎこちなく頷くアストラルだったが遊馬は気付かない。喜びに跳ね回っていると、抑止するように服の裾を引かれて遊馬の動きがやっと止まった。

「君がそこまで言うのなら……」

「サンキューアストラルっ!」

期待に満ちた目でアストラルに両手を手を差し出すが、チョコレートはアストラルの背中に隠されてしまった。どうしたものかと遊馬の目が丸くなるのは仕方ない。

「でも、今日は、その…心の準備が出来ていない。」

「ん?どういう意味だ?」

「明日…いや来月……来週まで待ってくれ。」

「いや、チョコは今持ってたしバレンタインが終わるだろ…」

アストラルが下着の色を思い返しているなど、この時の遊馬は思いもしなかった。

++++
ラノベ風勘違い

++++
男のみ
遊馬、凌牙、ハルト(カイト)、アリト、ギラグ、ミザエル、ベクター、96
ドルベ、メラグ、エリファス、ドン(ノリ組)

計11人
やりすぎw
という当初のメモから狂気を感じる。

15.2.24

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