下着編
※人間転生
※アストラル女体化
※ちょっと男性向け
「遊馬。"ブラ"とは、どう付けるのだ?」
アストラルが女になった時、一番遊馬を困惑させたのは"女性の下着について"である。
アストラルは純粋に困って遊馬を頼ったにすぎない。だが遊馬にとっては衝撃的な発言だ。
小鳥に付き添って買ってもらった白いブラを持ち遊馬に訪ねてくる、ここまでは耐えられる。アストラルは着替え途中らしく、上半身には何も身に付けていない。これは大問題である。
胸は自己主張するほどあるわけではないが、女性は女性、胸は胸。ピンクに色付いた胸の飾りが見えてしまった。
「アストラルっ!タオルはちゃんと巻けって!」
「君の真似をして巻いているではないか。」
「腰だけじゃなくて、女の子は胸も隠すの!」
目を手で隠しながら、しかし指の間から覗き見てしまうのは仕方がない。慌てて掛け布団をアストラルに押し付けることで取りあえずは凌いだ。
「して。この衣服はどうつけるのだ。」
遠慮なく遊馬の前に突きつけられたブラジャーに、遊馬は頭をかく。洗濯の手伝いで姉の下着を見ているため、慣れてはいる。だがこんなシチュエーションで触る日がこようとは。世のイケメンもびっくりである。
「姉ちゃんに聞いてくれよ〜…」
「明里しかわからないのか。」
「いや、わかるけど…」
「何がダメなのだ。」
「そりゃ…生理的に…」
「我慢だ。」
無茶を言いながら正座で座り込むアストラルを、どうしたものか。
いくら遊馬でも、女性の裸に耐性があるわけではない。しかし覆いを取らなければ付けられない。女性の裸に興味がないわけではない、断じてないが、真剣な金の目に見られては良心が痛む。
「私は多少のセクシャルハラスメントは許すぞ。」
アストラルほどの美少女が誘惑してくるとなればセクハラ程度では終わらないのだが、つっこんでる場合じゃない。
「わかった。付けてやるから後ろ見て、上だけ裸になってくれよ。」
「隠せと言ったり出せと言ったり、忙しいな。」
「うるさいなっ!しょうがないだろ!」
からかい笑いながらも素直に背中を見せるアストラルが可愛い。白い背中に欲情したが、慌てて頭を振った。
「まず腕を通して!この三角のところに胸が来るように当てくれな。」
「むう。」
「後ろはホックになってるから…これでよし。慣れないうちは誰かに手伝って貰えよ。」
「ふむ、わかった。」
付け心地がいいのか、楽しそうに体を動かすアストラルにため息をついた。
「ところで、ズボンはどこだ?」
「部屋だ。」
「はぁ!?ちゃんと持って来いって!!」
「私の勝手だ。」
焦り声を荒らげる遊馬に、ムキになるアストラル。立ち上がって部屋に戻ろうとしたら、背中のホックが外れてしまった。
「あ!ちょっと待て!」
手を伸ばした先は幸か不幸か、腰の高さで。掴んだ布は、腰に巻いていたタオル。身に付けていた布を掴まれ引かれ、バランスを崩した体はそのまま後ろに倒れ込み、遊馬が抱えて受け止める形となった。
「え、あ…。はいてない…?」
視界に入ったのは、何も身に付けていない白い下半身。理解した時には、もう我慢出来なかった。
「遊馬…」
そして鼻に強い衝撃。アストラルの頭突きが直撃したのだ。鈍い音に鉄の匂い。鼻を押さえる遊馬を一瞥し、アストラルは立ち上がった。
「腰に当たるモノは、流石に度し難い。セクハラだ。」
タオルを巻き直すと、痛みに捩れる遊馬を見下す。しかしすぐに心配そうに遊馬しゃがみこむと、ティッシュを手繰り寄せた。
「大丈夫か?痛むか…?」
「だ、大丈夫だから…服を着てくれ……鼻血が止まらないだろ…っ」
「最低だな。」
どうやら鼻血の原因は頭突きではなかったようだ。意味を理解し、ジト目になるアストラルだが、もう鉄槌はこない。
「見慣れておかないと、近々困ることになるぞ。」
「どういう意味だよ……っ」
「どういう意味だろうな。」
恥ずかしそうに胸までタオルで隠し、アストラルはそのまま部屋へと駆けていってしまった。残されたのは、ラッキースケベと甘い空気だけだった。
+END
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地球の知識はあっても、女性の知識がないアストラルが書きたかったのです。
14.12.16
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