元拍手
※遊馬・アストラル分裂
表記
・いつもの遊馬【遊馬】
・ノーかっとビング遊馬【'遊馬'】
・ゼアル【ゼアル】
・初期アストラル【'アストラル'】
・終盤アストラル【アストラル】
・ブラックアストラル【<アストラル>】
「なぁ。なんでアストラルが3人もいるんだ?」
『そう言う君こそ。』
今遊馬の目の前にはアストラルが3人いる。何を言っていれかわからないかもしれないが、言葉の通りなのである。
アストラルの分裂は、ナンバーズのせいなのだろうか?いや、違うようだ。何故なら遊馬の身にも起こっている事象なのだから。
「皆感じが違うんだ…。」
「そうだな。姿形は同じアストラルだが、全然違う。」
おどおどとした'遊馬'と、ゼアルがアストラルたちを眺めながら言う。恥ずかしそうに頬を染めるのは、遊馬と長年行動を共にしたアストラル。まだ人を知らない'アストラル'は、無表情で首を傾げている。
『そんなことより遊馬…、私は君たちのうち"誰のモノ"になる?』
誘うように、妖艶な目と指使いで誘ってくるは黒いアストラル。口角が弧を描きながら、顔を真っ赤にする'遊馬'に詰め寄った。
「あ、アストラル…僕はまだ心の準備が……」
『私のことか?'遊馬'。』
『お前ではない。'遊馬'は私だけを見ていればいい…ずっと…。』
「ややこしいな。いっそのこと徒名をつけたらいいんじゃないか?」
ゼアルの提案だが、遊馬たちは首を捻って唸るばかり。アストラルたちは、キョトンとしている。埒があかない。
「アストラルはアストラルだろ!な??」
『しかし"アストラル"という個体が現に分裂し、存在しているのも確かだ。これも何らかの効果なのだろうか…。』
『難しい事を考えなくともいいだろう。遊馬も増えたのなら大歓迎だ。』
フワリと純粋に笑うアストラルに、遊馬もつられて笑う。
「そうだよな。体におかしなところがないのなら、アストラルがいっぱいいるのは嬉しいぜ!」
『遊馬。君はもっと慎重に行くべきだ。いかなる罠も警戒していかなければ―――』
「お前はもう少し肩の荷を降ろせ、な?」
真面目すぎる'アストラル'に、ゼアルが苦笑い。肩を掴んで文字通り降ろすと、'アストラル'の目が丸く見開かれる。
『'遊馬'は何も気にしなくていい。私がいる、私がついている…』
「<アストラル>、お願いだから…膝の上に座らないで…。股のその、アレが……」
<アストラル>の色香に気圧された'遊馬'の顔は、可哀想なほどに真っ赤だ。
独占欲丸出しで、'遊馬'に抱きつき他から見えないようにするのは健気でもあり、執念も感じる。
『私に興奮しているのか?遊馬…』
「お前たち。そこまでにしとけよ。」
このままピンク色の世界に行かれては困る、とゼアルが<アストラル>を引き離す。親の敵の目で睨まれたが、見なかったことにしよう。
『観察結果その96。私も変われるのだな。』
『それもこれも、遊馬のおかげだ。』
「その気になれば、俺たちみたいにゼアルになれるぜ。」
『ゼアルとはなんだ!新しい召喚方法か!』
「デュエルしか頭になかった頃が懐かしいな。」
ゼアルが苦笑いをしながら興奮気味な'アストラル'を抑える。すっかりゼアルに興味を持った'アストラル'は、抱き留められながらも頬や腕をペタペタ触っている。ゼアルは微笑むだけで抵抗はしない。
自由な分身たちを眺め、アストラルは遊馬へと向き直る。以前では想像すら出来なかった穏やかな笑みがそこにある。思わず見惚れてしまった。
『遊馬。君にあって私はこんなに変わった。改めて礼を言わせてくれ。』
「改まって言うのも照れるけど…俺こそありがとうな!」
『フフ、君には言葉よりこっちの方がいいか。
アストラルから送られたのは優しい口づけ。幸せそうなアストラルに、遊馬も抱擁で返した。
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拍手を変えたいなーと思っていたら光臨したおネタ様です。
拍手感謝します!
15.1.8
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