*甘い
「はい、あーん。」
ナムダから向けられたのは、一匙の生クリーム。さっきまで考えていたことは、これからの作戦のこと。真面目な思想とふざけた現実のギャップについていけず目を瞬かせていたら、また同じ言葉が繰り返された。
「な、なんだよ突然…」
「あーん。」
「おい、会話をしろ。」
「あーん。」
頬杖をつきながら、煩わしさを表情に隠さず出しているが、ナムダは引きはしない。いじらしい女性なら、ここで汐らしく引いてくれるだろうに。
「おい。」
「あーん。」
「ナムダ。」
「あーん。」
「人の話を聞け。」
「あーん。」
「ナム。」
「あーん。」
「好きだ。」
「ん。俺も。」
「無視してたのかよ。」
ニコニコ笑いながら、スプーンの生クリームはナムダの口に消える。深く呆れたため息をつけば、一層笑みは深くなった。
「全く…何がしたいんだ。」
「んー、甘いっ」
「だから聞け。」
「フリックと、この甘さを共有したかったんだけど。」
「俺は甘いものは食べないって知ってるだろ。」
「うん。」
「じゃあ諦めろ。」
「じゃあ諦めた。」
さっきまでの奇行が嘘のように、一心不乱にパフェを貪る姿にため息をついた。
何のために、女性だらけの居心地の悪いカフェにきたのか。それはナムダの為に他ならない。「甘いものが食べたい」と駄々をこねた彼を黙らせる為にも、フリックが探した店だ。
「フリック。」
「なんだ。」
「次はどこに行くの?」
「まだ食べ足りないのか。」
「勿論。」
「…俺の部屋でいいだろ。」
「ん。了解。」
+END
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甘いナムフリが書きたかった
14.6.2
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