幻すい | ナノ



*無自覚

※カミュ独白
※マイク→カミュ→フリ

例えば、その目とか。
例えば、その物腰とか。
例えば、その気高さとか。
例えば、その幼い風貌とか。
例えば、その剣の太刀筋とか。

言い出したらキリがない。あぁ、彼の魅力。
同性である男に、ここまで魅せられた事があるだろうか?いや、ない。
道場で真面目に鍛錬に取り組む姿や、粗雑ながらも女性に限らず紳士な態度や。実は純情で一途で熱いところとか。
意地っ張りで言葉が少ないところはマイクにも似た点でもあるが、違うところはその幼さ。時折見せる子供のような感情に、愛情が芽生えてくる。

「これは恋、なのかな?」

「…知らん。」

マイクは彼の話をすると、いつも素っ気ない返答を返してくる。今日も例外ではない。

「だって彼からはいつも上品な匂いもする。」

「香水だろう?ニナが渡していたからな。」

「そうなのかな?体臭な気がするよ、ボクは。」

この前浴場でもいい匂いがしたし。
その言葉にマイクが目を剥いた。まったく、からかい甲斐がある。

「二人きりか?」

「そうだよ。でも何もないからさ。安心しなよ。」

悪戯に笑うとマイクが眉を寄せた。マイクは本当に可愛い反応をする。この『可愛い』は"彼"に対してのものと同じなのだろうか、それはわからない。

「でも別に、男色趣味じゃないんだよ。」

「ふぅん。」

「ね、マイクはどう思う?」

小首を傾げながら問えば、見開かれた瞳があった。驚くのも仕方がないだろう。普通はこんな事を聞かれるとは思わないだろう。

「…しかしそれは好きなんだろう。……恋愛、として。」

「やっぱりそうなのかな。」

キスをしたいと思った事も、実はある。口に出した事はないけども。
しかしそこまで踏み出す勇気はなかった。
何故か。
この関係が崩れるのが怖かった。この、入交りながらも、脆い関係が。

「カミュ。」

「ん?」

「俺からもノロケがあるが、聞いてくれるか?」

「ああ。勿論だよ。」

+END

++++
マイク→カミュ→フリ

一つを選べないカミュ。腹黒くなったけど、純粋もありだと思う

13.11.17

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