タバコの味は君で学んだ@




高校ン時に一度、「忘れらんねえ女がいる」と言ったことがある。確か「爆豪にも好きな子とかいんのかよ?」と聞かれたときで、いつもだったら無視していたものをその日はほぼ無意識でそう呟いてしまった。驚いた顔をしたクソ髪とアホ面とやっぱりなと分かったような顔をしたしょうゆ顔。

「彼女?」

なんと答えればいいか分からず黙りこくる俺。付き合ってから元の世界に戻った俺は、当然あいつと連絡する手段なんが無くて。好きじゃなくなるなんて無理な話だが、これは【元カノ】という括りになってしまうんだろうか。
しょうゆ顔は「この前から爆豪変だもんな」と笑う。別に、変なつもりもねえし、普段通りの生活を送っているはずが、感の鋭いようなやつにはバレてしまうらしい。

「いつか会わせてよ、爆豪の彼女」
「は?無理だわ」
「なんでよ?」
「てめえらに会わせる訳ねえだろ」

まあ、会うことなんて出来る訳ねえんだけど。







というやり取りをふと思い出す。
アイツと再会してから調子が上がった俺は、検挙数もビルボードの順位もぐんぐん上げていった。

「最近爆豪調子よくね?」
「フツーだわ」
「機嫌もいいしな」
「もしかして例の彼女じゃね?」

どうしてアホ面は全部ソウイウの方に持っていきたがるんだろうか。女子高校生かよ。まあ今回は間違っちゃいねえが、肯定する気もおきずにビールをぐびっと流し込むことで無視を決め込む俺。
ナンバーワンヒーローになる事だけを考えてきたこの俺が、女の事で一喜一憂して仕事の調子すらも左右されるなんて誰が想像できただろうか。俺本人ですら一ミリも考えていなかったことだというのに。

「つーかマジいんの?彼女」
「いるつってんだろ」
「だって爆豪に女の影なくねぇ?」

現場が被った日、久しぶりに、と誘われて完全個室の綺麗めな店内で酒を飲む俺たち。なまえには「クソ髪たちと飲んでくる」と連絡しておいた。
久しぶりの飲み会で、しかもなまえと再会したことで上機嫌だった俺は、いつもより酒を飲むペースが速かった。案の定酔いが回る。馬鹿みてえに潰れるわけじゃねえがこの辺で辞めとかなきゃやべえかもしれない。と、コーラに切り替える。

なまえになんか会わせるわけねえだろうが。あんなクソ可愛くて、綺麗なヤツ、一目見たらコイツらに気に入られるに決まってる。だから写真すら見せてこなかったと言うのに。酒が回った俺は口走ってしまったのだ。


「ンなに会いてえなら会わせてやるわ、ゼッテエ惚れねえならな」と。



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