Ｑ，どうして暗殺チームに入ったのか

「誰もが知りたい。だがプライバシーは守る。だから嫌なら答えなくて良い。俺もお前に聞かれたら答えないし」
「そうですか」
「気分を悪くしたならごめんよ」
「いいえ、構いません。それに言ったところで自分に支障は出ません」
「それは良かった。じゃあ聞かせてくれ」
「殺人が趣味だからです。食人をしていたからです。スタンド能力が暗殺向きだからです。行く場所が無かったからです。チームに捨てられたからです。不可抗力で人を、しかも組織の重要人物を殺してしまったからです。さあどれでしょう」
「あはは、どれも救われないね」
「当然です。真実は綺麗ではないのですから」
「んー、俺には答えが分からないな。教えてくれよ」
「答えは食人をしていたからです」
「え、嘘、まじで？」
「はい。スタンドで食べます。現場をその時たまたま外出していたチョコラータ先生に見られてしまい、興味本位で拉致され、本質はともかく暗殺向きだと言うことでこうして来た次第であります」
「確かに『食人の為』だね。本質は違うのかい？」
「本質は、食べる事で肉体の記憶、記録を知る事が出来る事なのだとチョコラータ先生は言っていました。確かに分かるんですが意識していなかったので、自分は食べる事が本質だと思っていたのです」
「へぇ。なら拷問向けだろう？」
「うーん、そこが難しい所なのです」
「？」
「分かるのは肉体で、脳みその中は複雑すぎて管轄外になってしまうのです。好き嫌い、病気、性癖とかしかすぐに詳しくは分からないんですね、これが」
「ふーん」
「と、チョコラータ先生には言いました」
「……どういう事だい？」
「記憶もばっちり分かります」
「……」
「頭がパンクしてしまうんです、情報が多すぎて。だけど拷問だと全てを見なくてはいけない。自分が持ちません」
「あんたチョコラータに嘘言ったのか」
「嘘では無いですよう。管轄外と言っただけですもん」
「成る程、言葉遊びって事か」
「ふふふ、なぁんにも考えないで食べるのが一番ですもん」
「君とは仲良くなれそうだ。よろしく、俺はメローネだ」
「よろしくお願いします」






食人するスタンド
文字通り喰べる
嘘八百でどれが本当かな、っていう、裏の攻防があります
ある種の変態

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「アントゥファゴ、綺麗にお食べ」
「うげ、なんだその名前」
「僕のスタンドの名前さ。食人をする（アントゥロポーファゴ）から取ってアントゥファゴ。素敵だろう？」
「全然！ それに食人ならカンニバリズモだろうが」
「美しくないじゃないか」
「そういう問題か」
「そういう問題です」

（プロシュートと）

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「見られながら、しかも何かを意識して喰べるのはちょっとやりづらいです」
「つべこべ言わずにさっさと喰え」
「うぅ」
「チョコー……、うお、今から何すんの」
「陳腐なスナッフビデオにも負ける食人ショーだよ、セッコ」
「さっさとやれ」
「はぁい。アントゥファゴ、いただきます」

「……ご馳走さまでした」
「気持ちわりぃ食べ方だな」
「部位によって味も固さも酸味も糖味も何もかも違いますから」
「気持ちわりぃぃいいい！ お、お前、気持ちわりぃよ！ チョコラータより気持ちわりぃ！」
「セッコ、さすがに僕も傷付くよ」
「それで結果はどうなんだ」
「ああ、うぅん、そうだなぁ……。この人は内臓に病気をしていましたね。性癖は歪みに歪んで、ＳＭとかそういう次元を超えています。関節を悪くしている」
「つまり？」
「肉体の記憶がわかるのだと思います。でも肉体なので、脳の記憶はどうか分からないです」
「ほう……。要実験だな。また後日、今度は脳の記憶読み取りを焦点に行う」
「はぁい。お疲れ様でした」




「う、……ぅあ゛」
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い！ 目がチカチカして足元がどこか分からないくらいに平衡感覚が麻痺している。胃も心臓も内蔵も脳ミソも、全部全部ぶちまけてしまいたい。頭を掻き回されて中身を取り出して違う何かを入れられたみたいだ。さっき喰べた人の記憶が僕の記憶と入り交じる。一度に大量の情報を吸収したから身体と脳みそと神経系が、全部上手く機能しているか分からない。さっききちんとチョコラータに嘘をつけただろうか。また実験するとか言ってたような気がする。もう嫌だから嘘ついたのに、まだやるのか？ 嫌だ嫌だ嫌だ僕はただ喰べたいだけなのに！
「アン、ト…、ファ、ゴ」
チョコラータを喰ってしまおうか。
ああでもチョコラータは不味そうだから喰いたくないなぁ。
激しい嘔吐感に襲われ、意識が途切れた。





暗チに来る前の話