お別れだね、永遠に



かれこれ数年前になるだろうか。彼女、宮本彩花とは中学で知り合った。第一印象もその後の印象も素晴らしい奴だった。そんな奴は永遠に幸せな将来が続くのだろうと思っていたが、そうでもないようだ。

「緑間……先生?」
「大丈夫だ、俺が必ず治してやる」
「ありがとう」
重い病気にかかっていたようだ。それも、年々重ねていくうちに重くなっていくと言う少々厄介な病気だ。だが、彼女は決して笑顔を絶やさずに生活を送っていた。だから、彩花がSOSを送っていることなんて知るよしもなかった。

もう、手遅れだった。約束したのに果たせなかった。患者を助けるのが医者の役目……なのに、俺は、彼女を助けられなかった。悔しい気持ちで満たされる心は癒えることは無かった。治療室に彩花と二人きり。家族にはナースが伝えていた。

「みど……り……せんせ……」
「!! 宮本!?」
俺はガバリと立ち上がった。彼女はまだ浅いが、息はあったのだ。俺は人工呼吸をしようと思い、手を出したが彼女に止められた。

「もう……む、りっぽ……い」
「そんな事を言うな! その手をどかせ、今助けてやる」
「フフっ……わ、たし……ね、すき……だった……の」
「え?」
「みど……りま、く……のこ……とが」
彼女は確かに目から流れていた。涙が、すっと一筋流れていた。俺はそれの倍以上流れている。

「俺も、好きだったのだよ……彩花。」
「ほん、と?」
「あぁ。彩花、だから逝かないでくれ」
そう言った瞬間、ピーッと音が鳴った。機械の音とともに彩花の呼吸は無くなった。俺はその場に倒れこんだ。嘘だ、嘘だと言ってくれ……だって、こんなに幸せそうな顔をしているんだぞ? 死ぬはずがない。

「彩花……もっと、俺に力があれば……」
俺は一生後悔した。だが、彩花の死を無駄にはしないと決意した。


..
確かに恋だった 様から。

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