どうかな?お試し期間ということで



「由孝君……で良いのかな?」
「うんうん。なんかしっくりくるよ」
今月で俺達は恋人歴1か月になる。これも記念日として俺は扱っている。(女の子はイベントが大好き)そして、今日、呼び方を変えようという事になり、今、呼び合っている。

「なんか照れちゃうな……森山君じゃダメ?」
「ダメ」
俺は即答した。だって、俺だけ彩花ちゃんじゃないか! なんか、お前だけ浮かれてるって感じじゃないか! いや、事実なんだけれども……。彼女は俺に気を使ってなのかデートだのなんだのと言ってこない。本音を言うと、もっとかまってちゃんになって欲しいと思っていた。

「由孝君……んー、しっくりこないなー」
「えぇー、そんなー」
「いや、絶対呼んでみせる」
彼女はそう言って笑う。困ってる時も、泣きたい時も彼女は俺の前だと笑っている。仮面をかぶっているのではないかと思わせられるぐらいだ。俺はそういうのはあまり好まない……いや、凄く嫌いだった。

「嫌だったら嫌だって言ってくれたって構わないんだよ?」
「そ、そんな事無い! ただ、ドキドキしちゃって……」
彼女はそう言って、顔を真っ赤にしてうつむいた。俺は納得した。無理をしていたわけじゃないんだ……。

「じゃあ、お試しっていうことにしようよ」
「お試し?」
「そうそう。ちょっとずつ慣れていけばいいさ」
「良いの?」
「無理してまで言わせたくないしな」
そう言えば、ありがとう! とまた笑顔で言われた。だが、その笑顔を俺は初めて見たような気がしてならなかった。

。。
玉響 様から。
君へ でした。

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