お受験



「今吉くーん、私、ココの単元やった覚えないんですけどー」
「それは自分が寝てたからやろ。
 諏佐もやった言うてるで?」
ダルイダルーイ、自主勉。
私たち三年生は、インターハイを終えて、大学受験勉強に励んでいた。
だが、面白くもなんともないそれは、私にとって苦痛であった。

「あぁー、疲れたー。
 今吉君、止めよう。休憩しようよ」
「さっき休憩したばっかやろ。
 そんなに勉強したくないんか?」
「当たり前じゃーん。
 勉強好きな人なんて居るの?」
「わし」
「嘘でしょ」
私は今吉君の言葉を、全否定した。
今吉君が勉強好き? ありえない。

「んー。自分と勉強するのわし、結構好きやで?」
「アハハ、ありがと。
 褒められてる気しないけど」
「褒めとるんやで?
 ……あ、いや……ちゃうな。告白しとるんや」
「へぇー、は?」
今、何って言った?
私の耳がおかしくなければ、告白って言っていたよね。
私は、身体がボッと熱くなるのを感じた。

「どうしたん?」
「なんでもないっ!」
「一緒の大学行けたらええな」
「そ、うだね」
今吉君はそう言って、勉強を始めた。
何事も無かったかのようにやっている今吉君。
ずっと見ていると、いつか目があってしまいそうなので
私は、今吉君とは反対の方向を向いた。





prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -