「え、東京に?」
翔一君はまぁ、バスケはうまいこと。
だから、東京の学校に行くそうや。
「せやせや、東京に行くんや。
なんや? 寂しいんか?」
「そなこと無いわ。
……嘘、ちょっと寂しいわ」
私は泣くのをこらえていたのに、溢れてきてしまった。
本当、困ったものや。
「ハハ。泣くなや。
大丈夫、毎日……は無理かもしれへんけど、頑張ってメールするさかい」
「ほんま?」
「ほんまやほんま。
せやから、泣かんといてや。な?」
翔一は私の頭を撫でながら言った。
このぬくもりももう、感じることができなくなってしまうと思うと……。
「……部活が連休の時、デートしようや。
それまでプラン、考えといてや」
「え、デート?
ええんか? デートしてええんか?」
「ええで、ええで。
わしも楽しみにしちょる」
翔一は言った。
「分かった。
考えとくわ」
私は言った。
その時、涙はもう不思議なことに流れていなかった。
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