Just a moment.

女子に負けないぐらいのサラサラな髪の毛で野球をする彼。
その彼にくぎ付けになってしまった私。
部活の窓からそっとグラウンドを見る。この感情を知っているのは誰も居ない。
彼を見たら私は、サッと部活動をする。そんな繰り返し。
私は見るだけで良いと思っていた。
でも、周りの子はそれだけでは足りずに告白しに行く。
その報告を聞くたんびにドキドキしている。そして、断られて嬉しがっている私が居た。


「彩花は白河君とかどうなの?」
「えぇー、私白河君の事あんまり知らないからなー」
半分本当で半分嘘の言葉を友人に向かって言う。
罪悪感は少しあるが、気にせず友人と話す。

「あ、宮本ー。
 今日日直でしょ、ちょっと職員室まで行ってきてちょうだい」
友人とだべっていると、顧問でもあり担任でもある先生が言ってきた。
あ、ついでにー、なんて言って荷物を持たせられた。
腕二本しかないんだから、そんなに持てねぇよ! なんていう言葉を腹の中にためて、分かりました、と言う。
隣では、ドンマーイとニヤニヤしながら言う友人。超ウゼェ。
よっこいしょと言いながら立ち上がり、階段を降りる。
あぁ、ヤベ、もう疲れた。
なんて思いながら頑張る私。せっせと歩いて、職員室前に着く。
三回ノックをして、失礼します、と言う。
扉を開ければ、そこには一人の先生と男子が居た。
サラサラな髪の毛。さっきまで友人が好きだと言っていた彼だ。
そして、私が密かに好意を寄せている彼だ。

「じゃあ、頼むな」
「はい」
目が少し隠れている。ちょっと怖い感じだ。
けれども、同時に、練習着姿の彼がカッコいいと思えた。
私は彼の横をサッと通って、担任の席に担任から預かったものを置く。
そして、持ってきてもらいたいと言われたものを持つ。

「失礼しました」
ペコリと頭を下げて、出て行く。
すると、もう一つの出口から彼が出てくる。
私は気づかないふりをして横を通り過ぎようとした。
その時、何もないのにこけてしまった。あ、ヤバイ。と、直感した。
べったーん、と廊下にダイブした。パラパラと舞う紙。私は冷や汗を流す。
なにせ、目の前には、彼が居るのだから。

「……」
彼は無言で私を見ている。変な奴だと思われたな。

「手伝ってあげる」
彼はぶっきらぼうに言った。
私は、ありがとう、と言う。
彼は無言で紙を拾って、私に渡すかと思いきや手を差し出してくれた。

「立てる?」
私は戸惑いながらも彼の手を握る。
「うん、アハハ、すみませんね。
 あ、練習頑張ってね、白河君」
そう言って、私は紙をもらう。
当たり前のように呼んだその名前。
変だと思われないかまたハラハラしていた……が、その心配も無いようだ。

「うん、ありがとう宮本」
彼はそう言って、クルリと回りグラウンドへと向かってしまった。
私はボーっとしてしまった。彼に初めて名前を呼ばれたからだ。
下の名前じゃなくても、私は嬉しかった。
あれ、でも……何で私の名前知ってるのだろう。

私は考える。
自惚れる答えした出てこない。
私はもどかしくなった。だから、彼の元へ駆ける。

「ちょっと待って!」
私がそう言うと、彼は立ち止まって、何? と聞いてくれた。
私は質問した。
そしたら、自惚れるには十分な答えが返ってきた。


。。
Theme様 英語お題5 でした。
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