優しいうた

「真木、邪魔」
授業中、隣の真木君はそう言われる。
いつも、毎時間、毎時間だ。そして、いつも、素直にゴメン、という真木君。
それを見るたんびに、私は、涙目になりそうになった。
けれども、泣いたら真木君が困るだろうから、泣かない。



「真木君、これ、野球ボール。
さっき道に落ちてたんだ。
真木君野球部だよね?」
体育の授業後、先程見つけたボールをわたす。
真木君とはあんまり話したことがないため、どきどきしていた。

「え、あぁ、ありがとう」
自席に座っていた真木君がペコリと頭を下げ、ボールを受け取った。
にしても手大きいな……。この手ですごいボール投げるのか……。

「……宮本?」
真木君は首をかしげてこちらを見ている。っていうか、真木君肌白い。女子か!!
なんていう言葉を胸にしまいこみ、大丈夫だよ、とわらった。

「宮本は、優しいな」
身体中が熱くなるのを感じた。
頬も赤いのではないかと、ドキドキ、ハラハラしていた。

「そっ、そんなことないよ」
私が笑うと、そういうところが、と言われた。また、ドキッと胸がなる。

「あと、俺のこと邪魔扱いしないし……」
「そんなの普通だよ!」
「そうか?」
「うん」
やっぱり優しいよ、と言われる。
胸が少しばかり、苦しくなった。

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