轟くその日まで

彼は毎日バットを振る。


学校でも、家でも、グラウンドでも、河川敷でもだ。
そして、暑い日も、寒い日も、雪の日も、雨の日もである。
彼は、毎日バットを振り続ける。

それを、私は真横で見ている。
それも毎日だ。
まぁ、これも、『彼女の特権』という事であろう。


「彩花ー、お腹空いた……」
彼はうつむきながら言った。
私は、あぁ、うん、分かった。と言いながらバックからおにぎりを取り出した。


「手、綺麗にしてから食べてね?」

「おぉ!」
彼は嬉しそうに頷いた。
その顔が可愛くて私はフフと笑ってしまった。


「彩花、どうしたんだ?」

「フフ……。ううん、何でもないよ!
美味しい?」

「おう! めちゃくちゃうまい!」

「それは良かった」
私は、彼の一言が嬉しくてしょうがなかった。


「ねぇ、雷市」

「ん?」

「私、雷市が甲子園に行くまでおにぎり作るね」

「甲子園に行ったら、作ってくれないのか?」
雷市はしょぼんとしている。
うわ、可愛い……。

「……前言撤回。
甲子園に行っても、作るからね」

「カハハッ! 約束だ!」

「うん」


あなたの名前が轟くまで、
私はあなたのサポートをしましょう。
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