あなたがきっとふさわしい。

重い子は嫌いだ。いや、体重とかそう言う話じゃなくて、気持ちの問題。
よくプリクラとかで○○大好き(ハート)とか、○○は私のだからーという会話みたいなものがよくある。それは愛されている証拠なのだろうが、生憎俺はそういうタイプは受け付けない。
だから、告白はほぼ断ってきた。そして、この告白は断るつもりだ。

「御幸、君?」
「わり、俺、部活に集中したいんだ」
こうやって言っても俺は笑顔だから相手は泣きながらいつも帰っていく。ていうか、ほとんどは顔で選んでいる気がする。もっと親しくなったら告白して欲しいものだ。

「御幸君? 急に呼び出してどうしたの?」
見知らぬ子と入れ替わりとなって彼女がやってきた。俺の彼女だ。しかし、この彼女もまた、重いやつなのであった。だから、「別れよう」とストレートに言った。そうしたら彼女は、「野球と私、どっちが大事なの? ねぇ、御幸君!」と、分かりきっていることを問いかけられた。
問い詰められる俺と、問い詰める彼女。これはこれで絵になるんじゃないかと思っていたが、個人的には早くこの場から解放されたい。
空気が重い。圧力も重い。

「ねぇ、どっちなの?」
野球、と躊躇なく言った俺は鋭い平手打ちを受けて理不尽なことに、「もう嫌い!別れよ」と言い逃げされた。
イライラが募るばかり。野球して、発散するかとか思いながら重い重い腰をあげた。廊下からまだ走る音が聞こえる。だが、それは次第に遠のいて行った。

「はぁ、いって…」
叩かれた頬は熱を持っていた。結構熱い。そういや、鳴もこんな事されたって言ってたっけな。彼女は慎重に扱えだのなんだのっていうアドバイス、ちゃんと聞いときゃ良かったと身を持って感じた。

彼女とは上手くやれないと、最初から分かっていた。彼女は男を何人も取っ替え引っ替えしては、他の男とよく遊び、媚を売る。
付き合う男子は、大抵、顔がイケメンなやつだ。性格とか彼女には二の次ならしい。
なんで付き合っちまったのかと昔の俺を憎む。
素敵な彼女ができないかななんて考えている俺が馬鹿らしい。

「部活行こ」
深いため息をついて俺はまた歩き出した。きっと、付き合いが長くなる彼女ができると信じて。


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