一生のトキメキを

とくん、とくんと胸の鼓動。
とある瞬間、それはバクバクと言う音に変わる。素敵な音。
この音は一生は続かず、ただただ、その瞬間だけなり続ける。老若男女関係なくそれはある。きっとそうだ。そうに違いない。
だけど、その音が止まる瞬間もまたある。

「じゅーん君! 今日も頑張ってね!」
「お、おー」
ぎこちない彼と慣れている彼女。その空気が一気に教室を包み込み、周りにいる野次馬達によってもっと激しくなる。
そう、この瞬間だ。あの素敵な音が止まるのは。

「頑張ってね」
「さんきゅ」
素敵な二人。お似合いな二人。末永くお幸せに。
皮肉にもそう思ってしまった。きっとこれは、私の本当の気持ちではなくて、善人としての気持ちであろう。あぁ、いつからこんな奴になってしまったのだろう。

いつから、自分の気持ちに蓋をするようになったのだろう。現実を見ているから? 彼女を応援するため?
違う。逃げてたんだ。怖くて怖くて仕方が無いから、私は一目散に逃げたのだ。馬鹿なやつだ。
気づいたら教室から出ていた。
試しに、胸に手を当ててみた。

あれ? 可笑しいな。
音が聞こえないや。

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