恋は盲目とはよく言ったものだ。

十人十色。皆違って皆良い。そんな言葉がある。が、今現在前にいる奴はそうは思わないようだ。
「樹だぁ?」
変なやつー、趣味悪ぅ、とダメ出しされ私は少しへこんでいる所だ。今は昼休み中だというのに何故このような話をしているかというと、まぁ、事のなり行きだ。
「可愛いじゃん」
と、私は反論した。
「ダメダメ。あいつはダメ」
「もしかして鳴ってさ、過保護?」
「変なこと言うな」
彩花キモいー。マジナイー。とブーイングされて、泣きそうになってきた。

「樹ってあれだよ? オタク。AKBオタクだよ!? 」
「うん、知ってるよ? 私も好きだし」
「一年だよ!」
「だからなんなのさ」
だ、だから……と、言葉を探しているようす。私は初めてテンパる鳴の姿を見た気がした。いつもなら、意地張って堂々とものを言うのに。私はおかしくて笑ってしまった。

「鳴、ありがとう。心配してくれてるんだよね」
「べ、別に! おいらはただ本当のこと言ってるだけだし!!」
そういって、プイッとそっぽを向いた。おーい、と騒がしい教室内からカルロの声が聞こえた。隣には勝之と多田野君がいた。いつものメンバーだ。

「旦那のお出ましだ」
「め、鳴っ!」
幸い、あちらには聞こえてないようだ。私が怒ろうとした瞬間、鳴が確かに呟いた。騒がしい教室内でも、確かに聞こえた。頑張れよ、と。

「可愛くないなー」
「誉め言葉じゃないよね、それ」
不機嫌な、いつも通りのエースがそこには居た。
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