お願いだから俺の隣に居て

本当、無口な奴!! あぁー冷たい冷たい! 先ほど鳴に言われた言葉だった。俺はいたって普通に接したはずなのだが、鳴からしたらそうではなかったらしい。めんどくさい。と、思っていたが、その後の言葉で俺は足を止めらざるを得なくなった。

「彩花もきっとそう思ってると思うなー」
まぁ、そんな事分かっていた。でも……名前呼びなんていつ頃からしていたんだ? 

「鳴―、お前って本当……バカだな」
「はぁ!? エースにそれは無いだろ! なっ、白河!? ……白河? ……勝之くーんっ」
「名前で呼ぶな、鳴」
「うわっ、勝之君こっわぁーいっ」
隣ではカルロスがため息をついている。俺は鳴に睨みつけてからスタスタと一人寮に戻った。歩いて行くうちに、後輩からなんか言われたけど、そんなの今かまってる暇はない。ドンドンイライラが増していく。
ガチャリと部屋の扉を開けて、携帯を片手に取って人気の少ない所へと歩いて行く。電話帳から彩花の番号を探し出し、プッシュする。プルルルという音が数回してから声が聞こえた。

「勝之君から電話って珍しいね、どうしたの?」
「彩花はさ、鳴の事好きなのか?」
え? と、彩花は戸惑っていた。好きなら好きと言ってくれればいいのに。俺は意を決して聞いたのだから、何を言われても受け止めようと思っていた。

「うーん、私は成宮君の事は好きだよ。でも、勝之君の方がもっと好き。ううん、断然好き……が、どうしたの?」
クスクスと笑っている彩花の声に対して、俺はいまさらながら恥ずかしくなってきた。別に、聞いてみたかっただけ、と素っ気なく返す。

「嫉妬だー、勝之君嫉妬してるんだー」
「してない」
「えぇー、私はいつもしてるよ? 今日、告白されてたじゃん」
「断った」
俺はきっぱり言う。そっか、良かった、と嬉しそうに言う彩花。でも、それでも、俺は何だか落ち着かなかった。バナナマンさんのラジオは今日じゃないしな……と思いながら俺は口を開いた。

「……ずっと、隣に居て」
あ、なんてバカな事言ったんだろう。え? 今何て? と言う彩花の声に俺は驚いて、通話を終えてしまった。

「チッ……なにバカな事言ったんだ」


。。
玉響 様から。
君へ でした。
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