勘ちがいもほどほどに

「彩花ー!! 御幸一也に何かされたかー!!」
は? と走ってくる沢村君に言ってしまった。沢村君は、あたりをきょろきょろと見回している。そんなに見てもあなたのお目当ての御幸さんは居ませんよ。なんて思いながら、ため息をつく。本当、バカはめんどくさい。

「御幸一也に何もされてないな!?」
「当たり前でしょ。誰情報?」
直感! と自信満々にいう沢村君。あぁ、バカは死なないと治らないんだっけ? なんていう言い伝えを信じてしまう私。ため息が何回出てもおかしくない。

「そっか、良かった! 彩花に何かあったらどうしようかと思った!」
「御幸さんは変な人じゃないと思うよ?」
「いや、あやつはヤバイ! 気をつけろよ?」
なんて真剣に言う沢村君が凄くおかしくて、私は笑ってしまった。なんで笑う!? と問われたので、私は何でもないと言った。沢村君はそうか、と笑う。輝いて見えた。満更でもなくカッコいいとか思ってしまった。あの沢村君に対してだ。

「んー? おい、風邪か? 顔赤いぞ?」
沢村君の一言で、いっきに教室中で冷やかしの言葉が飛び交った。うわぁ、恥ずかしい。当の種をまいた本人は、おっ! と驚いた表情であった。おいおい、計画じゃなかったのかよ。鈍感なのか? とか思いながら私はうつむく。クラスの人たちに注目を浴びるのってスッゴイ嫌だ。恥ずかしい。

「だーっはっは!! 彩花と俺は人気者なんだなっ」
「笑顔なの、凄く尊敬するよ」
尊敬!? 俺って偉大な人なのか!? と、とんでもない勘ちがいをしているが、私はほっておく。これ以上かかわっては、私の日常生活に支障をおこしかねないからだ。

「まぁ、俺達人気者同士仲良くやろうな!!」
「絶対嫌だ」
私は断固、拒否した。
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