嵐が来たって良いじゃない。

フラれた。朝の教室で彩花から言われた一言。挨拶の前に言われた一言だった。俺は申し訳ないが、嬉しかった。どこのどいつに告白したか知らないけど、おいらは自然と嬉しくなった。

「絶対そいつよりいい奴が居るって」
目の前にな、とつけたす。(心のなかで)すると、少し元気を取り戻したのか、彩花は微笑んでありがとう、と言った。

「っつーか彩花、誰に告白したわけ?」
と聞けば、すんなり答えてくれた。あいつか、彩花をフッたのは。変な噂流してやる、と復讐計画を立てながらおいらは彩花の話を聞いていた。

「でもあいつ、性格悪いよ―? 浮気するんだって。あぁ―、嫌だ嫌だ。良かったな、付き合わなくて」
「そう言われるとそうだね。付き合わなくて良かった」
ほら、すぐいつも通りの彩花に元通り。まぁ、でも、心は傷ついているに決まっている。

「本当、彩花って見る目なさすぎ。目の前に関東No.1の投手がいるのにさ!」
そいつの代わりは居るけど、おいらの代わりは何処にもいないよ。唯一無二!! と付け足す。彩花だって気持ち伝えたんだ。おいらも伝える。結果が分かっていたとしても。

「鳴のこと?」
「他に誰が居るわけ?」
……青道高校の子とか? と言われた。全く違うんだけど!!

「そっか、そうだね。鳴が居たや」
「なんだそれ!! 俺のビックさ、甲子園でドーンと見せてあげる!」
「期待してる」
彩花はそう言って自分の髪の毛を触った。照れてる証拠だ。おいらはそのしぐさが嬉しくて、おう、と言った。絶対カッコ悪い所は見せたくないから、今日から真面目に練習しよう!!

(雅さーん! おいら、今日から真面目に練習するよ)
(……明日、嵐でも来るのか?)
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