夢なんて見るものじゃない

私は産まれて初めて生で190cm以上の男子を見た瞬間、かっこいい、と思った。というのも、彼の投手としての活躍を見たことがあるからだ。
投げる瞬間彼は真剣な目、顔つきでボールを投げ18,44m先のミットに綺麗に収まる。
「真木君かーへー」
友達に言えばにやにやと笑われた。言わなければ良かったと後悔した。でも、言わずにはいられなかった。この胸を締め付けられる感覚を、頭のなかが彼でいっぱいになっていることを、全部話したかったのだ。

「でも噂じゃわがままとか聞くよ? エースがどーのこーのって男子がいってたし」
「ひ、人は人だもん。兎に角、私は真木君が好きなの」
「……話したこともないくせに?」
「う、うるさいなぁ」
それは分かってる。でも好きになったものはしょうがないのだ。そんなことを想いながら友達と別れて廊下を歩く。
「え? 何々? 宮本って真木好きなわけ?」
あ、八木君だ、と呟いた。八木君とは同じクラスなので知っていたのだ。てか、あいつ、早くも言いやがったな。

「真木かー、ふーん」
「なにその反応」
「いや、両想いってあるんだなーと」
「え?」
あ、やべ今の忘れて、とヘラヘラしながら言われた。いや、無理に決まってんじゃん。そんな好都合なこと忘れる人なんて絶対居ないでしょ。

「あぁー、真木に怒られる!」
「し、知らないよ!」
「……なぁ、真木のクラス行こうぜ」
「え、無理!」
「いいから早く! お、真木ー! 宮本がさー」
「なっ、八木君!」
私は焦った。こいつ、真木君に絶対言うつもりだろ。そんなことさせるか。私に恥ずかしい思いをさせるな。

「あ、宮本……さん」
「あぁ、真木? いつも通りに宮本で良いんだぜ?」
八木、ちょっと向こういってて。
私と真木君がハモるのにそう時間はかからなかった
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