今度は降りる駅を間違えずに降りた。
携帯を見てみると着信がたくさん入っている。
友人のである。
「あぁー、もしもし?」
怒られるの覚悟で電話をかけた。
「やっと出た! 遅いよ!
今どこ? 何してんの?」
質問が何個か出てきたところで、私は答える。
え、鳴ちゃんに会ったの!? 良いなぁ、と羨ましがられる。
「すぐそっちに行くから」
私はそう言って、歩くスピードを速めた。
外はもうすでに暑かった。
*
「お待たせー」
「おっそいよ!! もうっ」
グラウンドに行けば、友人に怒られた。
そんなに怒られなくても……と言うと、逆にもっと怒られた。
「あぁー、ほら、彼氏さん居るよ?
ほれほれ、練習試合なんだから」
冷かされながら、友人に背中を押されてフェンスの近くまで歩く。
現在のバッターは、3番の純だった。
「あ、来た来た!! 結城君ー!
彼女がみてるよっ」
「な、ちょ! そういう事言わないでよ。
哲が緊張するでしょ!」
私は友人の口元をおさえようとしたが、
カキーンッ、という音で動きがとまる。
「あ、右中間」
友人はそう呟いた。
私はバッと後ろを向くと、哲と純がホームベースにかえっているところであった。
青道高校のベンチは盛り上がっている。
「ウフフフフ。
彩花のおかげだねー、いやー、良かったよかった」
友人は満足げに言った。
私はその友人を横目に、赤くなった顔を隠そうと下を向いた。
そしたら、また、友人に冷かされた。