「って、哲が!!
 ど、どうしよう! 哲がキャプテン辞めちゃうかもしれない!」
私はグラウンドで休憩をとっている三年生たちに言う。
話しかけた本人たちは口をポカーンと開けていた。


「あ、の、彩花さん。
 哲がなんだってんですか?」
純が皆の代表で言った。
私は乱れる呼吸を止めて、正常な呼吸に戻す。


「だーかーら、哲が後輩たちとの関係で悩んでるんだよ」
私が言うと、亮介を初めとする三年生たちが笑っていた。
私は「なんで笑うのさ」と言うと、亮介が立ち上がった。

「彩花さん、それは当たり前だよ。
 なんせ哲はオーラ違うんだから。バイ、後輩」

「どういう事、亮介?」

「だから、哲には近寄りがたいんだって。
 金丸とか東条が言ってましたよ」

「近寄りがたい?
 はっ、哲が嫌いすぎて!?」

「……なんでそうなるんですか」
亮介はそう言うと、ため息をついて「めんどくさいな」と言って
哲の居る部室へと歩いて行った。



「どこ行くのー?」

「あぁー。良いんスよ。
 亮介がやってくれますから」

「え……何を?」
私がそう言うと、周りの全員はあぁー。と、
純を見て言った。
ちくしょう、アイコンタクトって奴か。仲が良い野球部め。


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