「……で、どうしたんだ? あれ」
「ウガ、朝からあんな感じだ」
教室にて。
二時限目も終え、三時限目に入る前の休み時間。
伊佐敷と増子が話をしていた。
「あんなに元気のない哲を見たの一年の頃ぶりだぜ。
やっぱ、何かあったんだな」
純は言った。
窓際の席で、ボーっとしている結城。
そんな姿を見るのは初めてだった。
いつもなら、将棋やら野球やらでいろいろ手を動かしているのに。
「こりゃ、相当ヤバそうだぜ」
「うが」
*
「へぇ、朝からなんだ」
隣のクラスの小湊兄を連れてきて、朝からの事を話す。
「どうしたと思う?」
「どうせ、彩花さんのことでしょ。
そんなに気にすること無いと思うけど」
「だ、だけどよ……」
「少女漫画読み漁ってるくせに、こういうのも分からないわけ?」
ニコニコスマイルの小湊の言葉に、ぐうの音も出ない伊佐敷。
「まぁ、すぐ元気になるでしょ。
哲の事だし、彩花さんだしね」
「まぁ、それもそうだけどよ……」
「純は哲のお母さん?」
「んなわけねぇだろぉぉぉぉぉぉ!!」
「純、うるさい」
伊佐敷にチョップをいれる小湊兄。
はたから見ればいつもの光景。だけれども、ちょっと横を見れば
いつもとちがう結城の姿があった。
「んー、こういうことしてもこっちに来ないか……。
本当、気が狂うな」