始めて聞いたことも多かった。
いや、多すぎた。

あの時、恐怖のあまり答えたっていう事なのかよ。
ハハ、なんか俺、サイテーな奴だな。悪役かよ。

「でもね、あの後少し考えたんだ。高校生相手に良いのかって」
「ふーん」
倉持はそう言って俺の顔をチラリとみる。
こいつ、分かってんならこの会話を止めろよ。いつもみたいに。

「今からしたら、一也で良かったんだよ。いや、一也が一番良かったの」
あ、今のやっぱりなしで、と彩花は取り消そうと必死であった。
その表情といい、身体の動きといい……あぁ、やっぱ好きだわ。

「ハッハッハ、俺は嬉しいぜ?」
「うるさい、あと、敬語!」
めちゃくちゃ顔が真っ赤だった。
倉持はため息をついて、うぜぇ、と呟いていた。


*


彩花は、出会った時から俺が告白するまでの数年間を省いて話していたが、
その、数年間が大事だった。
彩花と一緒にどこかに行ったのは、両手がちょうどなくなるぐらいだ。
それを省かれちゃ困る。

行ったところと言えば、
定番の遊園地、水族館、動物園。そして、海とかも行った。
あの時の身長差は少ししか無くて、俺も早く伸びろー、と心の中で叫んでいた。
まぁ、今からしたら、バカなことしてたんだなぁ、と笑いがこみあげてきそうだった。

「なぁ、数年間ってなにがあったんだよ」
倉持はそう言った。声漏れてたか、と思ったがこいつは察しが良い、ということにしておこうと思った。

「別に、なんもねぇよ」
練習するぞ、と俺は言って沢村と降谷の居る所まで駆けて行った。





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