「えっ、一也君彼女居ないの?」
「ちょっと色々すれ違いが合って……」
「ふふ、中学生も大変だ」
彩花さんはそう言って笑った。俺は、そちらはどうなんですか? と聞いた。そしたら、聞いちゃダメだよ、と少し頬を膨らませて言われた。
素直に可愛いと思った。

「ついた!」
彩花さんは先ほどよりも大きな声で言った。俺は彩花さんの向いている方向を見た。そこには、スポーツセンターの文字がでかでかと記されている看板があった。何故ここを選んだのかはその時の俺には全く見当もつかなかった。

「ごめんね、付き合わせちゃうって形になっちゃったけど……鳴のバッテを選んでほしいの」
野球の事とかよくわからなくて、と彩花さんは申し訳なさそうに俺に言ってきた。断れるはずもなく俺は鳴のバッテを選んだ。
流石大型とあり、種類が豊富であった。
俺は鳴の所属しているチームのカラー重視で選んだ。
彩花さんにそれを見せたら嬉しそうに笑ってくれた。嬉しかった。でも、なんだか複雑な気持ちに襲われた。
彩花さんにはそれを悟られないようにいつもの表情を作った。

「ゴメンね、一也君には関係ないのに……。あ、アイス食べる?」
こてんと首をかしげて聞いてきた。俺は、コクりと頷いた。





prev * next


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -