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「そう、先輩。」
「へえ、どんなやつ?」
「どんな……うーん…夜型?」
「やっと出てきた情報がよりによってそれか?全然誰かわかんねえわ。」
あとはなんだ、ゲーム好きとか、あ、名前。別に名前言えばいいじゃん。ちゃんと考えたらちゃんとした情報出てきた。
「あーえっと、鳳さん?て人。たしか2年で、先生のことも知ってた。」
「鳳……?お前それ……、」
新しい知り合いが出来たって話、先生の驚き顔、あれ、なんかこの感じ覚えが……。
「生徒会の会計だぞ。」
「あーーー……やっぱりそうだ。」
「俺も少し前から嫌な予感はしてた。はぁ…お前逆によく生徒会とばっか出会うな……。」
まあ確かに、人気者の有名人とすれ違ったり顔を見ることはあっても知り合いになってましてや夜中にゲームする仲になることはなかなかないだろう。ちなみに京佑先輩とはあれから会ってないしやっぱり同じ学年でもなければなかなか会うこともないのだろう。
「いやなんていうか…俺は普通に生活してるつもりなんだけど…なんでだろ。」
「こっちが聞きたい…いや、まあ、でも、いいんじゃないか。うん。知り合いが増えるのは良いことだしな。」
先生が思い詰めた表情の顔の前で手を組みながらそう言う。
「前の感じで行くともっとなんか、止められたりするかと思った。」
「なんていうか、あまりにもお前の人付き合いが少なそうだから、知り合いが増えるのは良いことだし、せっかく出来た付き合いなんだから大切にしないとな。お前はあいつが目立つのわかってるから人前で話しかけに行ったりしないだろうし、あいつも自分がどう見られてるかわかってるだろうからお前に目がいくようなことはしないだろ…まあ前もこんなことがあったが特に問題ないみたいだったし、大丈夫だろ。」
「たしかに……なんであんなに注意されたのかわからないくらいなにもなかったし、京佑先輩ともあれから会ってないし、たぶん会おうとしなければそんなに会わないだろうし、大丈夫。」
「よしよし……まあ油断はし過ぎないように、見られてないと思ってても思わぬところからってこともあるからな。」
「うーん…心配しすぎだと思うけど、一応気をつけとく。」
話に一区切りついて先生の顔がゆるんだと思ったら急にこっちを向いた、声は出なかったが身体がびくっとしてしまった。
「ま、その調子で俺の授業も真面目に受けてくれるとうれしいなあ。」
「……はーい、努力しまーす。」
ちくしょ、忘れてなかったか。
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