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「そうそれ!そのゲーム!キミも好きなの?」
「え、あ、うん。」
「俺も好き!そのゲームやってる人と初めて会ったよ!オンラインでマルチすることあっても友達とかやってる人いないから…。」
「俺も…俺も初めて。」
「そっか!…ていうかごめん、突然喋りすぎたよね。俺2年の鳳。良ければキミの名前も教えてくれない?」
「…1年の柊、です。」

突然話しかけられてどうしようと思っていたらイケメン、もとい鳳さんが気になったのは俺がプレイしていたゲームらしい。
どうやら2年生らしいので、取ってつけたような敬語を一応つけておく。

「そっか、柊くんかーよろしくね。そうだ、ファンタジースターってゲーム知ってる?」
「はい…ちょくちょくやります。」
「そうなんだ!俺この休日オンラインでプレイしてて、凄い強い人がいて一緒にプレイさせてもらったんだけど凄い楽しかったんだよねえ…良かったらさ、今度時間あるとき一緒にやらない?」
「あ…ぜひ。俺はいつでも大丈夫ですよ。」
「よし!じゃあさ、連絡先交換したいな。これ読み込める?」
「あ、ちょっと待ってください………はい、出来たと思います。」
「スタンプ送ってみるねー…届いた?」
「届きました。」

あれよあれよという間に連絡先まで交換してしまった。連絡先を交換するために出した先輩のスマホにはこの間のストラップが。
……それがすごく気になって、先輩は何も言わないし、何も言わなくていいのかもしれないけど、すごく胸がもやもやする。

……だめだ。

「あの、鳳さん、その…。」
「うん、どうしたの?」
「そのストラップ…こないだの休みの日コンビニの前辺りで探してましたよね。」
「あぁそうなんだよねーコンビニに買い物しに行ったときに落としちゃったみたいでさ。でもなんで?」
「その…俺、ちゃんと見てなくて、えっとその……蹴飛ばしてしまって、落し物って寮監に届けないと行けないと思うんですけどそれもしなくて、その…すみませんでした。」
「あぁなんだそんなこと。いいよいいよ、通路に落としちゃった時点で踏んだり蹴られたりって言うのは多少しょうがないと思うし、落し物なんて真面目に寮監や交番に届ける人のほうが少ないんじゃない?そんなもんだと思うよ。そんなことよりさ、ゲームいつしよっか、明日の夜とかあいてる?」

そんなこと、か。そっか、そんなこと。でも言ってよかったかな。なんか心が緩まった気がする。

「はい、あいてます。」
「そっか!じゃあ明日の夜ね。時間とかはまた連絡するよ。あとさ、敬語別に良いから。」
「え、でも、先輩ですし。」
「んー、でも最初は敬語じゃなかったし、俺が2年って言ってから敬語にしてくれたけどなんか距離感感じちゃうし、それにさ、ゲームしながら敬語で話すのってなんだか頭回らなくない?だからさー無理にとは言わないけど俺は普通に話してほしいなって思うよ。」
「…じゃあ、お言葉に甘えて。」
「うんうん、いいよ。…あ、」

話が一区切りしたところで鳳さんのスマホがぶーっと鳴る。
「俺何しに来たのか忘れてた。まあいっか、俺そろそろ行くね。」
「うん、じゃあまた。」
「うんまた連絡するねーばいばい!」

鳳さんが手を振りながら来た道を帰って行ったので手を振り返して見送る。

面倒だと思って落し物を届けたりしなかったけどやっぱり無意識ながらも気になってたというかなんというかで、それが少し楽になった。それに思わずゲーム友達が出来てしまった。一緒にゲームをするような友達、いや先輩だけど、が出来たのは初めてでなんだか落ち着かない、浮かれてしまう。

にゃーーーーー

「あ、起きたのか。」

クロも起きてしまったし、空は綺麗なオレンジ色で良い時間になったし、そろそろ帰るかな。
……今日の晩ご飯なにかなあ。






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