【寒天問屋】






 体調が全快した和助の提案で、麺を食べに行くことになった井川屋の面々は、台所で固まっていた。

 最初は渋っていた番頭も全員で説得し、後は店を決めるだけとなった。

「何処にしよ」
「麺でっせ。麺といえば」

 和助はうーんと天井を仰いだ。

「やっぱり――アレやな?」






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