算盤の稽古の日である。善次郎が口火をきった。
「数が合うたら真帆家の琥珀寒」
「えっ……!」
「――ではなく、夕餉にお里はん特性の香々が一枚増えますんでな。盛大お気張りやっしゃ」
丁稚たちはがっかりしたが、顔には出さなかった。しかし算盤は全問間違えた。
「もっと気張らんかい……」
とはいえ教えている善次郎も御新香より琥珀寒のほうが良かった。その月の始末はほどほどにして、少し多めに仕入れた琥珀寒を旦さんが頼んだ物として奉公人に振る舞うのだった。
番頭のツンデレ度アップ↑
奉公人のやる気アップ↑
旦さんの体力アップ↑