2−11 友達なんてはじめてで…なのに




=男子寮満の部屋=


南戸「拓郎くんを紹介してほしいであります」

滝島「……南戸、だったら、誠意を見せてくれ」

南戸「そ、そんな、ひどいよ。満。俺をどうするつもり?」

滝島「シカトするつもりかもしんない」

南戸「ちょ、それはやめてくれ、俺、沈黙は耐えられないんだってマジで!」

滝島「…………」

南戸「ごめん、ごねんって何が頭にきちゃったのかわからないけど、気にくわないこと言ったんなら、本当にごめんなさい。口をきいてよ、満。ね、満。満ってば!」

滝島「…………」

南戸「らぶ、らぶ、らぶ、溢れだすぅ、らぶ、らぶ、らぶ、おさまらない、規格外サイズに成長を遂げたら、君に触れてもらいたいと、心が今主張をはじめる〜」

滝島「……、この、卑怯だ、俺の好きな曲に変な歌詞をつけんじゃない!」

南戸「満ぅ」

滝島「だから、紹介して、この僕に、彼をぉ〜とか続けんじゃないぞ?」

南戸「ばれたの!?」

滝島「ふ、だが、甘い。俺が簡単に拓郎を紹介するはずがない!」

南戸「俺、友達なんてはじめてで…なのに」

滝島「南戸…」

南戸「俺、こんなのだから、誰からも遠巻きに見られていたのに、そんな俺のこと理解して、くれて、友達だって、満なら、信頼できるって思っていたのに。どうして、満っ」

滝島「ただ、俺が南戸のこと信頼していないんだ。拓郎は純粋だからホイホイついていきそうで、いくら、南戸でも理性が持つか心配だ」

南戸「でも、俺たちは友達だよね?」

滝島「そうだ。だが、断る!」

南戸「懐かしいな、そのオタ用語!」

滝島「あはは」

南戸「でもそんなんじゃ騙されないからね。満、俺に拓郎くんを紹介してくれ!」

滝島「嫌だ」

南戸「なんでだよ!」

滝島「俺はマジで拓郎のこと大切だし大好きだから、南戸にも誰にも渡したくないんだ」

南戸「それは、俺も一緒だ」

滝島「ああ、そうかい…」

南戸「そうだよ!」

滝島「じゃあ、俺の拓郎に手を出そうとしないで!」

南戸「だが、断る!」

滝島「だったら、紹介しない」

南戸「だが、断る!」

滝島「……飽きたよ、その言葉もう古いって」

南戸「だが、断る!」

滝島「お前、とりあえず、断ればいいと思うなよ。俺にも俺の、拓郎にも拓郎の事情があるんだから」

南戸「だが…」

滝島「断れず、南戸は諦めたとさ」





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