2−10 素直になる薬。




=教室=


滝島「おっはよう、拓郎!」

鈴村「え、あ、おは、よう…」

滝島「どうしたんだよ、元気ないなぁ」

鈴村「…夢じゃないんだよね?」

滝島「何が?」

鈴村「俺たちはもう友達同士でいいんだよね?」

滝島「違うよ、俺たちは親友だ、なんてな…友達でもいいけど」

鈴村「ご、ごめん。満は俺にとって大切な親友だ。それはいつまでも変わらないと俺は保証するよ」

滝島「…そんな、保証って、絶望的だな…」

鈴村「え、満なんて?」

滝島「拓郎は、俺があんな我儘を言って、迷惑したのに、こうしてまた俺のこと親友だって言ってくれるのかと思ってそれが嬉しくて…」

鈴村「それなら、俺こそ、我儘を言っていた……」

滝島「……え?」

鈴村「俺はお前の感情をないがしろにしてまでも、親友でいたいだなんて言ったんだ。なのに、今こうして俺の傍から離れずにいてくれる満がいて、期間中はずっと俺の知らない満がいて、困惑してないって言ったら嘘だけど、それでも、やっぱり俺は俺のことを親友だって満に自慢してもらえたら嬉しい」

滝島「そんなこと言ったら、俺自慢しちゃうよ?」

鈴村「…うん」

滝島「ごめんな…拓郎…しばらく辛い思いをさせてしまったよな」

鈴村「だから、もう、いいって。俺はもう、今、こうして、満に親友だと言ってもらえることにホッとするから。それだけで充分だから!」

滝島「なら…よかった……俺、拓郎が笑っている顔が一番好きだから」

鈴村「み、満」

滝島「あらら、顔が赤いぞ、このっ」

鈴村「うるさいうるさい!」

滝島「拓郎、可愛いなぁ本当に本当に可愛いよ!」

鈴村「やめろよ。可愛いなんて男が言われて嬉しいわけないだろ!」

滝島「確かにそうかもしれないけど、俺は、拓郎はそうじゃないと思うんだ」

鈴村「とても、言いがかりだと、思うぞ?」





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