2−7 それがとてもやりきれない
南戸「でさ、俺はお前に質問なんだけど、鈴村って知っているか?」
滝島「なんでさ?」
南戸「俺の同人誌拾ってくれて可愛い子の名前なんだけど、下の名前を聞くの忘れてさぁ」
滝島「は、お前、同人誌拾わせておいて、名前まで聞いたのか?」
南戸「だって、かなり可愛かったんだもん、鈴村くん」
滝島「複雑だな…」
南戸「どうして、まさか、満。実は満は俺のことが好きだったり…」
滝島「俺は拓郎一筋ですからパンチーっ」
南戸「あぶしっ」
滝島「ごめん、つい殴っちゃった」
南戸「いいよ、満は可愛いから、特別に許してあげる」
滝島「……たまに南戸は寒いこと言うよな」
南戸「俺、寒いことなんて言っていなよ。情熱をもっとも愛しているからね」
滝島「はいはい」
南戸「てか、話それちゃったじゃないか?」
滝島「そうだな。俺が知っている鈴村って名前の奴は、一人しかいないかな」
南戸「へぇ、下の名前教えてよ」
滝島「それがとてもやりきれない」
南戸「まさか、鈴村それがとてもやりきれない、とかそんな名前なわけが、いや、それはそれでチャーミングだな。やばい、可愛い」
滝島「おい、そんなへんてこな名前で呼ぶな。拓郎に失礼だろっ」
南戸「………………え?」
滝島「だから、俺の知っている鈴村は拓郎しかいないって言ったんだ。南戸があった鈴村は人違いだと信じようとしているけど、たぶん、今、この学校には鈴村は拓郎しかいないよ」
南戸「やべっどうしよう、俺とお前はライバルってことに!」
滝島「なんだよ、落ち込めよ。何がそんなにも瞳をキラキラさせることがあるっていうんだ」
南戸「だって、萌える。まじこれが三次元。俺今まじで二次元に入れた感じがするんですけどー」
滝島「おい、叫ぶなよ…もう遅いって時間」
南戸「時は関係ない。ただ俺は拓郎くんを思うあまりに…」
滝島「南戸、いくらお前でも拓郎に変な感情を持つなら俺はこてんぱんにするからな!」
南戸「だーかーらー、満。今回の俺は、本気だって言ったじゃないか。本当に本気なんだ。傷つけることなんてしないよ。だって好きなんだ。俺の顔を見て笑ってほしいって単純なこと考えている。いや、もう自分でも信じられないことになぁプラトニックでもいい」
滝島「じゃあ、そこのBL同人誌捨てろよな」
南戸「それとこれとは別問題です」
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