2−6 ただ早くなるばかりの欲望




=男子寮滝島の部屋=


南戸「みーつーるっ」

滝島「ぎゃーっ何急に飛びつこうなんてするんだよ!」

南戸「なんで避けるのさぁ?」

滝島「俺に抱きついていいのは拓郎だけなんだよね」

南戸「へぇー滝島の思い人は拓郎くんっていうんだなぁー」

滝島「し、しまった。迂闊にも名前を言ってしまった…」

南戸「ねね、拓郎くん今度紹介してよ」

滝島「嫌だね、拓郎は俺の拓郎だもん。お前みたいな軽い男に紹介なんて怖くてできるかよ」

南戸「えー俺ってそんな風に見られていたんだ。ショックだな。でも安心してくれって。俺、実は今日、恋をしたんだ」

滝島「へぇーどんな子?」

南戸「俺よりも細くて小さい子」

滝島「…おお、それは、めずらしいな。南戸よりも細くて小さいなんて、めったにいないだろう」

南戸「そうなんだよ。いてもね、なんかこう色気がないんだよね。俺が求めているのは常にエロだからね!」

滝島「愛とエロは別個じゃないのかよ?」

南戸「大丈夫だって、今回のは愛からくるエロだって。今までみたいに誰でもいいから、脱がせたいって感情じゃないんだ。彼だから、脱がせたい。というか、俺が、教えてあげたい!」

滝島「…ほどほどにしておけよ、そのうち捕まるぞ?」

南戸「満。そんな俺のこと心配してくれているんだ…」

滝島「違う。俺は、お前に一方的に変な感情を寄せられている子を心配してんだ」

南戸「ひどい。今回のは真剣に恋なのに! 俺、我慢できるよ。ただ早くなるばかりの欲望を、我慢できるよ。彼が俺に笑ってくれたなら、きっとそれで浄化できると思う。それくらい好きなんだ。だから、そんな風に言わないでよ…」

滝島「じゃあ、腐男子やめるの。普通の男の子に戻りますか?」

南戸「いや、彼は俺のこと理解してくれていると思うんだ」

滝島「へぇー」

南戸「だって、彼ね、俺が落とした、同人誌を拾って渡してくれたの。平然とした顔をしていたよ。めたんこ可愛かったぁ!」

滝島「……なんで落とすんだよそんなもんを」

南戸「だって、教科書の間に挟まっていたんだもんしかたないよ」

滝島「それもそうだよって、言うか、馬鹿!」

南戸「なんでぇーなんで怒るんだよ、満ぅ」

滝島「いくら、男ばっかの学校でそういった趣味の奴が多いところだとしても、いいか、普通の女の子が好きだとか言う生徒もいるんだ!」

南戸「つまり、俺の本を平然と拾ってくれた彼は、偏見ないってことでいいんだよね!?」

滝島「…ま、それでいいんじゃね…ぇ?」






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