2−5 順番なんて必要なのかと




=放課後の教室=


滝島「拓郎!」

鈴村「……な、なんだよ、満」

滝島「一人で何居残りしてんの? もうみんな寮に帰ってしまったって、どうしたの、顔がとっても赤いけど、風邪でも引いたの?」

鈴村「ちょっ、お前、顔が近いって!」

滝島「どうして、よく、こうしておでこくっつけていたじゃん」

鈴村「…それもそうだけど」

滝島「な、拓郎。徐々に、でいいから、ちゃんと友達に戻って行こう。急に俺は切り替えてしまったけど、まだ拓郎は困惑しちゃうかもだけど、俺はずっと拓郎と楽しくすごしたいから、拓郎がまた俺のこと親友だって言って笑ってくれるように、それまで全然待つし。だから、無理しないで、嫌だったりしたら、突き放してね。あ、そう、それからもしも、今なら、まだ俺は拓郎のこと恋愛感情残っているから、恋人になりたいなって思ったら言ってよなんて」

鈴村「満っ」

滝島「な、なんだよっ」

鈴村「ううん。ごめん。俺の知っている滝島がここにいるって思って…」

滝島「?」

鈴村「思いやりがあって不安がりなところ、ひさしぶりに見て…さ」

滝島「拓郎?」

鈴村「だって、だって、だって…ぇ」

滝島「泣くなよ、拓郎」

鈴村「泣いてなんないないからっ」

滝島「そうか…」

鈴村「そうだよ、馬鹿」

滝島「だったらいいや」

鈴村「な、満。ずっと俺たちは親友だよな?」

滝島「当たり前だろう」

鈴村「みーつーるーっ」

滝島「どうしたんだよ、拓郎」

鈴村「どうもしないよ」

滝島「そうか?」

鈴村「うん。ただ、ホッとしただけ。満と親友に戻れる日がくるなんてもっと先のことだと思っていたら…」

滝島「なぁ、俺思うんだけど、拓郎はどう思う? 順番なんて必要なのかと考えるけど、どう思う?」

鈴村「…えっと、大切なのは心じゃないかな?」

滝島「じゃあ、順葉を間違えたけど、また俺と親友でいてください」

鈴村「そんなの、言われなくても…言われなくても…」

滝島「拓郎?」

鈴村「何でもないし、俺、今日用事があったんだった。先に帰るね、ばいばいっ」

滝島「拓郎っ……。そんなに急いで走り去らなくても。どうせ、用事なんて、嘘だろ…なんで…」






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