2−3 親しい友だから親友だね!
=教室=
滝島「……だから、俺の負けでいいから、友達に戻ろう。いや、親友だったね。親しい友だから親友だね!」
鈴村「え?」
滝島「だから、俺、拓郎のこと諦めるから、親友に戻ろう」
鈴村「…あ、うん、親友に」
滝島「そうそう、また一緒にくだらない話とかしてさ、一緒に遊ぼうよ!」
鈴村「………うん」
滝島「……?」
鈴村「ね、満。どうして、急に?」
滝島「駄目かな。俺やっぱり拓郎が大切な親友だったと気がついたんだ。ここ数カ月、迷惑なことしてしまったけど、やっぱり俺は拓郎と親友でいたいなって。駄目かな?」
鈴村「ううん。駄目じゃない。けど…」
成瀬「拓郎ちゃん!」
鈴村「な、成瀬?」
成瀬「お、は、ようっ」
鈴村「わっ」
成瀬「あれ、滝島、怒らないの? 拓郎ちゃんから離れろーっとか、いつものは?」
滝島「え、ああ、俺ね、拓郎の親友に戻ったんだ」
成瀬「え?」
滝島「何、何? 俺じゃ、もう親友にさえも戻れないって思うかな?」
成瀬「いや、そうじゃないんだが、なんかこう、気持ち悪いな」
滝島「何が気持ち悪いんだよ!」
成瀬「だって、親友って…」
滝島「…そのままの意味だよ。親しい友だちだってこと」
成瀬「さっきから、滝島…」
滝島「俺っ、朝トイレに行くの忘れてたから〜、ちょっときばってこよっと」
成瀬「ごゆっくり」
鈴村「……満?」
滝島「嫌だな。拓郎なら、そんな、ひょろい男くらい、払いのけれるでしょ? 嫌なら自分で突き飛ばしなよ」
鈴村「満、怒ってる?」
滝島「は、なんで俺が怒らないといけないわけ…意味わからない!」
鈴村「で、でも、満っ」
滝島「やべぇ、このままじゃおもらししてしまうぅ〜ってことでトイレ行くわぁ。バイニー」
鈴村「あ…満っ」
成瀬「おっと、行くなよ?」
鈴村「どうしてだよ、満、とても辛そうだったじゃないか。俺」
成瀬「君が行ったことろで何ができる?」
鈴村「…それは」
成瀬「泣くなよ?」
鈴村「泣いてねぇよ。俺は泣いてない。泣いているのはきっとあいつだ…」
成瀬「そんなにも愛しているくせに、どうして君は嘘をつくんだろうな。残酷だ」
鈴村「委員長…」
成瀬「自覚ないか?」
鈴村「え?」
成瀬「ないならないでいいんだ。俺はその方がいいからな」
鈴村「……成瀬」
成瀬「追いかけたいなら、行け…」
鈴村「うんっ」
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