2−2 滝島満。
べつに俺にそんな趣味はなかったさ。
ただいつも君の視線が切なくて、気になっていたんだ。
どうして、拓郎はそんなにも淋しそうな顔をするんだろう。
俺という親友がいるにも関わらずに。
俺はお前の親友でいたい。
いつまでもそばにいたい。
確かにそう言ったけど、今さら考えてみれば、あの頃から、もう、拓郎に恋をしていたんだ。
守ってやりたいだの。
癒してやりたいだの。
考えるようになって、気がつけば、頭のなか、拓郎でいっぱいだった。
キスしたいって思った。
俺のために乱れてくれたらいいのにって思った。
叶わないって思った。
でも、諦めたくないって思った。
戸惑いなんてなかった。
拓郎を好きになることに後ろめたさも何もない。
俺は拓郎だから、好きになったんだと思うんだ。
そう、だから、俺にそんな趣味はない。
男が好きだとか、そういうのではないんだ。
ただね、拓郎が好き。
それだけ。
ああ…親友から脱してみたい。
拓郎の違う一面がみたい。
今の関係を犠牲にしてもいい。
俺は賭けに出ることにしたんだ。
愛しの君を手に入れるために。
そう、知っているんだ。
拓郎が俺のことをそういった意味で好きだって。
だから、頑張ろうと思ったんだ。
けど…もう………
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