2−1 偏見じゃないよただの区別化
=男子寮滝島の部屋=
滝島「……はぁあー」
南戸「どうしたんだ、満?」
滝島「南戸ぉー俺やってしまったんだぁあ」
南戸「ヤってしまったのか?」
滝島「もう、取り返しつかなかったらどうしよう。でも俺は駆けに出るつもりだったのは本当だし、でも今更あんなことしなかったら俺たちはまだ普通に友人でいられたのかなって思ったりしてでもやっぱりもう、もう、あー、悩むのしんどいよぉーっ」
南戸「…な。満。もっと詳しく聞かせてくれ! 今度のコミケの新刊の役に立つかもしれねぇから!」
滝島「俺は真剣に悩んでんのに!」
南戸「もう、満は子どもだな…そうやって感情のままに泣いていたら、誰か助けてくれるとでも思っているの?」
滝島「そんなこと思ってなんかいない」
南戸「そうだよ、可愛いだけだからやめた方がいいよ。このヘタレ」
滝島「今、聞きたくない言葉が聞こえてきたような…」
南戸「受け溺愛俺様ヘタレわんこ」
滝島「南戸、それは何かの呪文なのか?」
南戸「オタクにとっては魔法の言葉だよ、俺、お前みたいな二次元人間にリアルに会えて本当に毎日楽しいから、あんま悩み過ぎて、壊れないでね。ま、それはそれでおいしいかもしれないけどさ」
滝島「……俺は南戸の言っている意味はわからないが、とてつもなく、背筋が冷える」
南戸「いやだぁな。わかっているだろ、満。この部屋に隠すこともなくさらされている俺の同人誌を見たら、そう!」
滝島「わからないから。BL=エロなんて俺は認めないんだからな!」
南戸「うん、そう言ってくる満可愛いぃ萌えるぅ」
滝島「……はいはい」
南戸「でも、なんでBL=エロだと思わない? 濡れ場がないと楽しくないって」
滝島「そうじゃない。偏見じゃないよただの区別化。俺は、エロはエロとして、BLはBLとして確立するべきだと思うんだ。勝手かもしれないけど、エロだけじゃなくて…男ならそういうのもわかるけど、それさえも忘れてしまうくらいの切実な純愛BLが俺が好きなだけで…」
南戸「え〜っ」
滝島「じゃあ、聞くが、たとえば南戸が風紀委員長だとしよう。服装違反の生徒に手を出すか? 仮にまぁひそかにお前が心を寄せている奴だとしても…」
南戸「無理やりシチュ!?」
滝島「……真剣に聞いた俺が馬鹿だった」
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