1‐10 そのための写メなんだ




鈴村「昴。ごめん」

豊田「やだな。謝らないでよ。て、か、僕こそ、ごめんね。怖かった?」

鈴村「……大丈夫。昴だし」

豊田「拓ちゃん。無意識に口説かないでよ!」

鈴村「え?」

豊田「天然っ」

鈴村「ば、馬鹿。俺は天然じゃない。普通だっ」

豊田「……違うよ。拓ちゃん」

鈴村「何が違うんだよっ」

豊田「普通の男の子は、こんなふうにならないよ?」

鈴村「だ、お前っ! その写メ消せよ!」

豊田「やだよ。僕の青春のTページ」

鈴村「そんな青春、青春にしたらダメだ」

豊田「えー!」

鈴村「えーっじゃない!」

豊田「………でも、わかってる」

鈴村「昴?」

豊田「僕の気持ちは拓ちゃんには届かないことはちゃんと」

鈴村「あ…、ごめ」

豊田「いいんだ。それで…。だから」

鈴村「……」

豊田「そのための写メなんだ」

鈴村「はい?」

豊田「手段を選ぶのあきちゃった」

鈴村「昴、どうして」

豊田「拓ちゃんが可愛いから」

鈴村「はっ、ちょ…」

豊田「逃がさない。俺だけを見てよ」

鈴村「昴、やめっ」

豊田「抵抗してもいいよ? また突き飛ばしていいよ? ただね。ここにこんな写メがあることを忘れないでね?」

鈴村「お前、何、考えてっ」

豊田「何って拓ちゃんのこと」

鈴村「す、ばるっ」

豊田「何? 誘ってんの?」

鈴村「やだ、やめて。こんなの、ちが」

豊田「優し過ぎる? もっときつくしてほしい?」

鈴村「違うっ。や、ぁあ…」

豊田「拓ちゃん」

鈴村「え…」

豊田「……なんて、ね」

鈴村「は、え?」

豊田「わかった?」

鈴村「何が? え?」

豊田「怖いよね。男同士でも、やれるよね?」

鈴村「……え?」

豊田「いつまで、混乱してんのっ」

鈴村「昴? いつもの昴?」

豊田「いつものって…。うん、ま、そうだけど。ごめんね。まさか、そこまで混乱するとは考えてなかったな」

鈴村「……説明して下さい」

豊田「う、悪い。ちゃんと説明するよ? だけど、その前に…」

鈴村「?」

豊田「拓ちゃん。おトイレ、行かなくて大丈夫?」

鈴村「え、だい、わっ!」

豊田「行っといで」

鈴村「悪い…」

豊田「いや、僕のせいだし。抜いてあげようか?」

鈴村「いい。自分でやるから」

豊田「それはそれで、そそるよね」

鈴村「え?」

豊田「なんでもないよ」

鈴村「じゃ、行ってくるから」





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