1‐9 悲惨だ。





  =男子寮自室・朝=


鈴村「違うんだ。俺は」

豊田「拓ちゃん。何言ってんの? ホモゲーで、いやらしく反応したくせに」

鈴村「違う。誤解だ」

豊田「よく言うよ。僕の手でイったくせに」

鈴村「うぅ嘘だ。そんな」

豊田「本当だよ? なんならもう一回してあげるよ?」

鈴村「やめ、昴っ。俺は…はぁ、あ」

豊田「ほら、ここは正直に反応してるよ?」

鈴村「うっ…ん」

豊田「拓ちゃん。感じてるんだね。可愛いなぁ」

鈴村「ちがっ…すば、る」

豊田「本当に可愛いな。思わず、写メとっちゃうくらい」

鈴村「て、やぁ、ん、昴、お前、何」

豊田「悲惨だ。拓ちゃん。見てよ。この写メ」

鈴村「えっ、ぁ…やだ、消してっ」

豊田「なんで? こんなに上手にとれたのに。拓ちゃん」

鈴村「ちょっ、ま、昴。冗談も、ぅあ…、たいがいにし、ろ」

豊田「………拓ちゃん」

鈴村「や、おま、あたって、る」

豊田「何が?」

鈴村「ふざ、けぁ、んなっ!」

豊田「痛いな。殴ることないでしょ?」

鈴村「な、殴ることだろっ!」

豊田「拓ちゃん。ダメだよ」

鈴村「何がだよっ!」

豊田「その顔、正面から見れない」

鈴村「え?」

豊田「すっごい瞳潤んでる。可愛いなぁ」

鈴村「す、昴?」

豊田「すげぇ…俺好み」

鈴村「昴?」

豊田「え、なぁに?」

鈴村「いや、今、一瞬、なんか黒かったから」

豊田「何言ってんの? 僕は黒いよ?」

鈴村「……?」

豊田「やだな。気付いてないの? ずっと一緒にいたのにね」

鈴村「なんのことだよ?」

豊田「好きだよ」

鈴村「…………………………え?」

豊田「ずっと拓郎だけを愛してた」

鈴村「す、ばる?」

豊田「いつまでも幼なじみだなんて、やだよ。拓ちゃん」

鈴村「……」

豊田「驚いた? ごめんね。でも、本当に好きだから」

鈴村「ちょ、昴!」

豊田「何? 拓ちゃん」

鈴村「放して」

豊田「どうして?」

鈴村「や、それは…」

豊田「今までよくこうしてたじゃないか?」

鈴村「え?」

豊田「抱きしめるくらい、いいでしょ?」

鈴村「う、うん…」

豊田「それとも、足りない?」

鈴村「え、あ…」

豊田「さっきは途中だったもんね?」

鈴村「昴っ!」

豊田「うわっ」

鈴村「あ、ごめ…」

豊田「拓ちゃん。見かけによらず、力強いよね?」

鈴村「ごめん。俺は…」

豊田「わかってるよ」





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