1‐7 ひかないでね
豊田「てか、拓ちゃん。なんで急に僕のこと、豊田、呼びにしたの?」
鈴村「それは…その……何て言うか。怖くて…」
豊田「どうして?」
鈴村「いや、さ、すげぇ昔の話なんだけど、俺の仲良かった奴が……その」
豊田「……はぁ。それって滝島ちゃんのことでしょ? 隠さないでよ。嘘ついてもわかるから。ずっと腐れ縁だしね。僕はずっと拓ちゃん見てきたし、ね?」
鈴村「昴。ごめん。聞いてくれる?」
豊田「そうやって頼ってよ? 僕たちの仲じゃん!」
鈴村「実は……」
★…☆★☆…☆★☆…★
鈴村「と、いうことに…」
豊田「つまり、友達に告られたけど、拓ちゃんはそういう風には見れなくて断ったんだね。それで、向こうがそんな約束してきたと…」
鈴村「そう」
豊田「なんで、馬鹿じゃないの? なんでそんな約束したわけ? 拓ちゃん」
鈴村「だって、あいつは友達だったんだ。ずっと友達だと信じていたから…」
豊田「……そっか。拓ちゃんはそういう子だもんね。でも、じゃあ、滝島ちゃんは酷いよね」
鈴村「満は、悪くない…」
豊田「何言ってんの? 拓ちゃんの気持ち全然考えてないじゃんっ! そんなの酷すぎる」
鈴村「でも……」
豊田「でも、じゃない。拓ちゃん。本気で付き合うの? 拓ちゃん。わかってる? 恋人と友達は大きく違うんだよ? ね、そのエロゲみたいなことされたらどうするの?」
鈴村「……ぇ、うわっ!」
豊田「こんな普通の軽めの表紙見ただけで動揺しているのにさ」
鈴村「や、でも、俺、女じゃないし…」
豊田「ば、馬鹿! 脳天気!」
鈴村「今、俺の脳は嵐だ! 洪水だ! ちっとも天気じゃねぇよ!」
豊田「じゃあ、それ、貸してあげるから、やりなよっ! それから同じ台詞言ってよっ!」
鈴村「はっ、やってやろうじゃねぇかよ。こんちくしょー」
豊田「の、前に約束ね」
鈴村「ぁあ?」
豊田「ひかないでね」
鈴村「今更、ひかないから。俺、昴がエロゲしてるの知ってたし」
豊田「うん。そうだね。だけど内容知らないよね?」
鈴村「あぁ、そうだよな。けど、俺、エロゲはじめてだから、偏見とかないと思うよ?」
豊田「いや、あるかもしれないよ?」
鈴村「俺達、幼なじみ何年やってんだよ? 今更だよ。昴」
豊田「拓ちゃん。僕、拓ちゃん大好き」
鈴村「はいはい。抱き着かないで。今、電源いれるから。あ、これだよな?」
豊田「そうそう。それを押したら、はじまるよ?」
鈴村「………て、昴? これ、は」
豊田「18禁ホモゲー」
鈴村「ぎゃーっ!!」
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