1‐4 本当に好きだよな
滝島「こらーっ! 拓郎ちゃんに触るなーっ! と、うわーっ!? こけた〜!」
成瀬「馬鹿だ。自滅してる」
鈴村「て、滝島?」
成瀬「拓郎。俺を置いていくの?」
鈴村「い、委員長?」
成瀬「あんな馬鹿はほっておきな。お前は俺のことだけ、考えていればいいんだ」
石田「黙って聞いていたら、お前、委員長の分際で、このって、うわっ?」
滝島「ぎゃんあぁあ」
成瀬「うわ、イテェ」
鈴村「石田先生!」
成瀬「拓郎。俺だけを見て」
鈴村「……俺、女の子が好きだって言ったよね? わかってくれよ、な。委員長」
成瀬「何をどうわかればいいの?」
鈴村「だから、俺は委員長のことはそういう風に見れない」
成瀬「男だから、じゃなくて、俺だから?」
鈴村「うん。ごめん…」
成瀬「いや、それ、嬉しい」
鈴村「?」
成瀬「今までさ、ずっとフラれてきたけどさ、みんな理由なんて男だから、て言うんだ。俺じゃない。性別で決められてしまうんだな。だから、正直、それは嬉しい。拓郎はちゃんと俺を見てくれていたんだなって」
鈴村「委員長。ごめん。一瞬でも嫌な奴だと思って。こんなにたくさん傷ついて生きてきたのに。俺…」
成瀬「下手な慰めはいらない。ただあそこに積み重なっている滝島と石田をどうするべきか?」
鈴村「あ、もしかして滝島、さっきの衝撃で気絶してるんだ。馬鹿だぁ」
成瀬「本当に好きだよな」
鈴村「何が?」
成瀬「なんだかんだ言って、お前は滝島が好きなんだよなって思うとさ」
鈴村「な、なばかっ! そんなわけないだろっ!」
成瀬「素直になっちゃいなよ」
鈴村「だから、ちが…」
成瀬「そういう顔してるけど」
鈴村「違うって!」
成瀬「わかった。わかった。そういうことにしといてやる。が、あまりぐたぐたしていたら、口説きにくるからな。拓郎ちゃん」
鈴村「て、成瀬? 何一人で席に戻ってるわけ? この気絶した二人はどうするわけ? 俺がどうにかしないといけないわけ?」
成瀬「拓郎。フッた男に縋り付くようなこと言うなよ? それとも期待していいのかな?」
鈴村「え…あ、そんなつもり、じゃ…」
成瀬「じゃあ、どういうつもりなんだ?」
鈴村「だって成瀬、いつも俺のこと助けてくれる委員長だったから」
成瀬「馬鹿だな。計算。と、いうか、計算の優しさ求めるなら、やるが…、そうだな、明日の休日を俺にくれるか?」
鈴村「は? 俺の休日はわけられるもんじゃないだろ? それに委員長も休みじゃん。俺からもらわなくても」
成瀬「何を勘違いして。お前は…」
鈴村「ぇ?」
成瀬「俺と休日を過ごそうって意味」
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