1‐2 愛がないから、暴力になるんだね。




滝島「ごめん。俺そんなつもりじゃ…」

鈴村「…ぇ?」

滝島「ごめん。はじめて会った時から、ずっと拓郎ちゃんのこと大切にしようと決めてたのに。俺、ちゃんと、拓郎ちゃんの気持ちわかってなかった。もっとよく考えたら、わかるはずなのに…。どうして俺って、いつもこうなんだろう。ただ好きで、それだけで。だけど、それだけじゃ、愛してるだけじゃダメだよね。拓郎ちゃん」

鈴村「滝島…、わかってくれたんだ」

滝島「うん。わかったよ。痛いほどにわかった。石田先生。俺に大切なことを教えてくれてありがとう。俺、拓郎ちゃんのこと大切にする。ちゃんとわかったから」

鈴村「なんか、ごめん。滝島がそんな風にわかってくれるなんて思いもしなくて。酷い言い方ばかりして」

滝島「いいんだよ。拓郎ちゃん。やっぱり、世間体は大切だもんな。うん。わかってる。本当は俺と触れ合いたいのに、俺がそれで他の奴から変な目で見られるのが嫌なんだろ。本当、お前はいい奴だよ。自分の気持ちを押し殺してまで、俺のこと」

鈴村「くたばれ」

石田「ナイスパンチ。鈴村きゃん」

鈴村「………馬鹿は馬鹿でしかないことを忘れていた。俺はなんて愚かなんだ」

石田「自分を責めたらダメ。鈴村きゃんは何も悪くない。悪いのは全て、男を無意識に誘う、その瞳だ」

鈴村「石田先生?」

石田「鈴村きゃん。ずっとずっとずーっと、君だけを」

滝島「くたばんのはテメェだぁ!」

石田「きゃーん」

鈴村「暴力ふるうなんて、最低」

滝島「は、おい。拓郎ちゃんだって俺のこと殴ったの……はっ、あ、ごめん。そうだよね。あれは愛だよね。そっか。俺と石田の間には愛がないから、暴力になるんだね。気付かなかったよ。ごめん。そんなに拓郎ちゃんが嫌なら、俺もう暴力はふるわないからね」

鈴村「………あ、そう」

石田「じゃあ、俺から愛をこめて、滝島くんにパーンチ」

滝島「俺だって負けじと愛をこめて、パーンチ」

鈴村「…………誰か、助けて。もうやだ」

成瀬「授業してくださいよ、石田先生。それから、滝島くん。鈴村くんが好きなのはわかったから、自分の席につきなさい。今は授業中ですよ」

鈴村「い、いい委員長〜」

成瀬「…なんですか。感謝しないでいただきたい。僕は当然のことを口にしたまでなんですから」

石田「命拾いしたな、馬鹿野郎」

滝島「それはこっちの台詞だ! ボケ!」

成瀬「二人とも早くしてください」

滝島「はいはい」

石田「はい。では適当に教科書開いて、適当に問題解いて、適当に…」

成瀬「先生。ちゃんと仕事して下さい」

石田「委員長。お前な、学校に何をしにきてんだ?」

成瀬「勉強ですけど…」





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