0−はじめに




鈴村「あ、こんにちは。俺、鈴村拓郎って言います」

滝島「拓郎ちゃん! 何、真剣に自己紹介してんのー?」

鈴村「そうですね。ここは台詞だけで物語が進んでいくような、感じですかね。はい、そうです。そうです。名前と台詞がこのように表示されるんです」

滝島「拓郎ちゃん?」

鈴村「う、まぁ、なれないですよね。ですが、読んでいるうちになれていくと思いますので、どうぞ、お付き合い下さいませ」

滝島「………た、く、ろ、う、ちゃ、ん。拓郎ちゃーんっ!」

鈴村「あ、そうだ。忘れていました。滝島とかいう人間の……いや、生物の、名前と台詞が表示されることがあるみたいですが、それはエラーっていうか、存在しないものなので、みなさん軽く無視しましょう!」

滝島「ひどいよー。拓郎ちゃん! 俺、こんなにも拓郎ちゃんのこと愛しているのに!」

鈴村「はい、こんな感じに表示されてしまいますが、俺とは関係ないので、みなさん、お手数ですが、無視して下さいね!」

滝島「拓郎ちゃんっ拓郎ちゃん。ひどいよ! どうして? 紹介してよ! 俺、拓郎ちゃんの恋人じゃないか!?」

鈴村「……平常心です。軽やかに聞き流しましょう」

滝島「愛を確かめ合ったなかじゃないか! なのに…なのに…拓郎ちゃん。どうしてなのさっ!?」

鈴村「……………誰がいつ、テメェなんかと愛を確かめ合ったってぇ? 嘘言ってんじゃねーよ。この薄らハゲ!」

滝島「ハゲてないもん! どうしてそんなこというの? ………っあ!」

鈴村「はっ……しまった。口を聞いてしまった」

滝島「拓郎ちゃん。そんな意地張らないで。俺は君のものだから。誓うよ。君だけのものだって。だから、安心して。ね」

鈴村「離れろ! ……もういい。無視しきれない。てか、俺は普通に女の子が好きなんだよ! 何度、言えばわかるんだよ? てか、どうして俺がお前に安心しろだの言われないといけないわけ?」

滝島「強がらなくてもいいんだよ。わかっているから」

鈴村「はぁ?」

滝島「もう、そうやっていつまでも俺のことを悪く扱って。試してんだよな?」

鈴村「……………………」

滝島「そうだよなー。いくらお前でも俺くらいの美男子を前にしたら自信なくすよな。ごめん」

鈴村「……嫌み? 謝られる意味がわからん」

滝島「もう拓郎ちゃんてば。いつもそうなんだから。しかたないな。俺がかわりにここをしめておくね」

鈴村「は?」

滝島「はじめに。のページをご覧のみなさま。はじめまして。滝島満と申します。ここの作品は、俺と照れ屋な拓郎ちゃんのラブラブ会話で綴られる愛物語です。それでは次へ行きましょう!」

鈴村「待て、待て、違うだろ? あきらかに違うよな? なーっ?」





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